公取委、VISA日本法人を立ち入り検査 独占禁止法違反の疑い

公正取引委員会の外観を撮影した写真

クレジットカードの国際ブランド「VISA(ビザ)」が提携先のカード取扱会社に対し、自社の決済ネットワークシステムへの乗り換えを強要していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は17日、ビザの日本法人「ビザ・ワールドワイド・ジャパン」(東京都)を独占禁止法違反容疑で立ち入り検査した。

関係者への取材で判明した。

国際ブランドへの立ち入り検査は初めて。

公取委は同日、関係先として米国本社の「ビザ・インク」(米国)とアジア太平洋地域を統括する「ビザ・ワールドワイド・プライベート・リミテッド」(シンガポール)への調査も開始。

独禁法に基づく報告命令などで事情を聴く。

シンガポールの法人が容疑の中心的役割を果たしていたとみて重点的に調べる模様だ。

クレジットカード取引では、カードを消費者に発行するイシュアーと、飲食店や小売店などの加盟店を管理するアクワイアラーと呼ばれる二つのカード取扱会社の間で、決済システムを使った代金の請求・立て替え払いや限度額などの信用照会が行われる。

その際、インターチェンジフィー(IRF)という手数料が発生し、料率は国際ブランドが決定している。

関係者によると、ビザはIRFの決定権を悪用。

カード取扱会社が自社の決済システムへの乗り換えに従わない場合、料率を引き上げると圧力をかけた疑いが持たれている。

決済システムは複数の事業者が競合しており、ビザは自社のシェア拡大によってシステムの使用料収入を増やす狙いだったとみられる。

公取委はこうした行為が、取引相手との「拘束条件付き取引」や競争相手への「取引妨害」といった独禁法が禁じる不公正な取引方法に該当するとみている。

一方、IRFが引き上げられると、アクワイアラー業務をしているカード取扱会社は収入が目減りすることから、ビザの要求に従って決済システムを使用。

その結果、競争原理が働かなくなり、最終的には加盟店やカード会員の負担増につながった可能性もある。

日本クレジット協会によると、2023年のクレジットカード取引額は約105兆円で、ビザのシェアは国内市場全体の半分を占める。

ビザが不当な要求をした提携先は、三井住友カードや楽天カード、セゾンカードなどとみられる。

参照元∶Yahoo!ニュース