ビール回帰鮮明、減税追い風に上半期国内販売7%増 シェア16年ぶり5割超え

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ビール大手4社が10日までに発表した2024年上半期(1~6月)のビール国内販売量は前年同期比7%増となった。

発泡酒などを含めたビール系飲料全体が2%減となる中、昨年10月の減税を追い風に「ビール回帰」が鮮明になった。

各社は、ビール系飲料全体に占めるビールのシェア(占有率)が上半期としては16年ぶりに5割を超えたとみている。

(貝塚麟太郎)サッポロの「黒ラベル」が14%増、アサヒの「スーパードライ」が4%増となるなど、各社とも看板商品が好調だった。

低価格の発泡酒や第3のビールなどに押され、ビールのシェアは、上半期としては2009年に初めて5割を切った。

反転のきっかけになったのが、20年に始まった減税だ。

国は26年までに3段階で酒税を見直す方針で、2回目にあたる昨年10月、ビールは350ミリ・リットルあたり6.65円減税された。

9.19円増税した第3のビールとの店頭価格差が縮まり、消費者の購買意欲を高めた。

減税にあわせ、各社が新商品を投入したことも大きい。

アサヒは3月、蓋を開けると細かな泡が発生する「生ジョッキ缶」で高価格帯のビールを全国で本格展開した。

キリンも4月、17年ぶりに定番価格帯で新商品「晴れ風」を投入したほか、「一番搾り」を2年連続で刷新した。

スーパーなどでは、ビール売り場を広げる動きもある。

ビール大手の担当者は「減税効果は想定以上。メーカーも小売りも、利幅の大きいビールに力を入れている」と話す。

ただ、縮まったとはいえ、第3のビールとの店頭価格差は、まだ40円程度ある。

物価上昇(インフレ)も根強い 。

飲食品の更なる値上げが広がれば、消費者が、嗜好(しこう)品のビール購入を手控える可能性もある。

ビール大手首脳は「消費者の節約志向は根強い。割安な商品に戻るかどうかの分岐点にある」と話す。

業界はこれから夏のかき入れ時に入る。

気象庁が6月下旬に発表した3か月予報によると、平年より猛暑のリスクが高くなる。

業界では、気温が1度上がると売り上げも1.5%伸びるとされる。

猛暑に見舞われた昨夏も前年を上回った。

各社は引き続き、販促活動を強化する。

サントリーは昨年家庭用で販売を始めた「サントリー生ビール」を飲食店向けでも開始した。

年末までに2万店に拡大する計画だ。

サッポロは4月、東京・恵比寿にビール醸造を見学できる施設をオープン。

消費者の裾野を広げる戦略で、来場者は10万人を超えた。

今月にはパリ五輪も始まる。

「ビール回帰を持続させたい」(ビール大手担当者)と期待を寄せる。

参照元∶Yahoo!ニュース