困惑・批判、政権内で拡大 「場当たり」「猛暑に間に合わず」 電気代補助
岸田文雄首相が唐突に打ち出した電気・ガス料金の補助金再開に、政府・与党内で困惑や批判が広がっている。
丁寧な意思決定プロセスを踏まなかった上、猛暑が予想される7月分に間に合わないためだ。
自民党総裁選での再選戦略の一環との見方も相次ぎ、政権浮揚へなりふり構わぬ首相の焦りがにじんでいる。
「消費者物価指数を毎月0.5ポイント引き下げられる効果を目標にしたい。財源は予備費を活用する」。
首相は25日、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談し、8~10月分の電気・ガス料金補助再開の具体策を説明した。
電気・ガス料金支援は5月末で終了したが、首相は今月21日の記者会見で「酷暑乗り切り緊急支援」と銘打って再開を表明。
検討は官邸幹部ら一握りで進められ、経済産業省内だけでなく、経済対策の司令塔役を果たすはずの新藤義孝経済再生担当相も「知らされていなかった」(内閣府幹部)という。
ただ酷暑対策と掲げた割に、対策時期が夏季とずれるなど取って付けた印象は否めない。
派閥裏金事件への批判が根強い中、今月からの定額減税に続く「物価高対策」で政権浮揚につなげる思惑がありそうだ。
官邸幹部は「補助を再開すれば皆うれしいだろう」とあけすけに話した。
自民岸田派の松山政司参院幹事長は25日の会見で「非常にいい決断だ」と評価したが、「岸田降ろし」の兆しが見える与党内で肯定的に捉える向きは少数。
この日に開かれた自民政調の会合では出席した議員から「酷暑対策なら7~9月だ」「エネルギー政策が行き当たりばったりでいいのか」といった批判が続出した。
公明党の会合でも赤羽一嘉前国土交通相が「唐突な官邸の発表はおかしい。丁寧に事を運んでもらいたい」と不満を示した。
野党も批判を強める。
立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で、「国会が終わり総裁選が近づいて復活するのは、総裁選目当てと言われても仕方がない」と指摘。
国民民主党の玉木雄一郎代表も「6、7月を空白にする意味が分からない。経産省も戸惑っている」と疑問視。
「場当たり的で遅く、効果も限定的。政権の迷走を表している」と切り捨てた。
参照元∶Yahoo!ニュース