規制緩和から1年、急増するキックボード社会課題の解決に期待も安全性には懸念

電動キックボードに乗る女性

電動キックボードが、昨年7月の規制緩和で免許なしで運転できるようになってから間もなく1年がたつ。

開発やサービス運営を手掛ける「Luup」(ループ、東京)の乗車スポットは、直近1年間で2倍の約8千カ所以上まで急増した。

電動キックボードや自転車など、小型の移動手段のシェア(共有)サービスは存在感を増しており、社会課題の解決策としても期待が膨らんでいる。

「この1 年は車両供給が足りていた時期がない」。

Luupの岡井大輝社長は今月20日の記者会見で規制緩和後の反響についてこう説明した。

電動キックボードは昨年1月の改正道路交通法施行で、16歳以上なら免許なしで運転が可能になった。

規制緩和による需要拡大に比例し、LUUPも都心のビルなどに乗車スポットを増やし、利便性は格段に向上した。

同社によると、最も多い乗車時間は10分前後で、1~2キロ程度の短距離の移動や、公共交通機関や徒歩では遠回りになる移動の代替としての需要が高い。

広報担当者は「主に通勤通学など、朝夕の時間帯に多く利用いただいている」と話す。

乗り物(モビリティー)を個人が所有するのでなく共有(シェア)する「シェアモビリティー」は都心だけにとどまらず、観光地でのオーバーツーリズム(観光公害)対策として導入する動きもある。

乗車スポットを観光地に設置することで移動手段を分散化でき、公共交通機関の混雑解消や観光客の効率的な移動を促進している。

電動自転車などのシェアサービスを提供するOpenStreet(オープンストリート、東京)は、全国123の自治体と連携してサービスを展開。

訪日外国人の利用も増加傾向にあり、同社と連携して鎌倉市内などでサービスを運営している江ノ島電鉄の担当者も「同じ観光地へのルートでも(乗客の)分散効果がある」と期待する。

Luupも20日、自治体などと契約し、電動キックボード車両などを提供する新サービスを発表。

観光地の課題解決支援の動きを本格化する。

電動キックボードを含むシェアモビリティーは急拡大したが、免許不要のため交通ルールに違反したトラブルや事故も増えた。

東京大学の中村文彦特任教授は「法的整理は不十分で、専用レーンなど走行場所のさらなる整備が必要」と指摘。

Luupの岡井氏も「道路行政の旗振り役がいない」と懸念する。

シェアモビリティーが既存移動手段と共存できる道路交通のあり方を改めて検討する必要がありそうだ。

参照元∶Yahoo!ニュース