硬グミ「忍者めし 鉄の鎧」が異例の連続完売 「次の販売は?」

グミの写真

品薄が続く異例の人気ぶりだ。

超人気グミ「忍者めし 鉄の鎧(よろい)」は2023年12月の発売時を含めて2回販売したが、売り場に消費者が殺到していずれも約1週間で姿を消した。

数年前に海外メーカーの地球グミがはやったが、今回も若者やグミ好きの間ですさまじいブームを巻き起こしている。

人気の秘密、そして今後の販売予定は?気になる疑問に迫った。

2023年12月に発売された「忍者めし 鉄の鎧 グレープ味」(以下、鉄の鎧。実勢価格は税込み171円)はパッケージの「ザクッと超弾力!」という文言通り、ハードな食感を売りにするグミだ。

発売当時は1週間程度でコンビニエンスストアの棚から姿を消し、24年4月の再販時も同じく1週間程度で品薄状態を引き起こす異例の事態となった。

UHA味覚糖の忍者めしブランド担当者は、「コンビニでは一般的に週に5個売れれば良いとされているが、今回の鉄の鎧は発売当時にその3倍ほどを記録。

さらに24年4月の再販時には『合格基準5個』の約5倍も売れ、消費者ニーズが加速しているのを実感した」と説明する。

ここで説明しておくと、「忍者めし」自体は08年から続くロングセラー商品で、コンビニを中心に販売。

ハードグミが今よりも圧倒的に少なかった当時、硬くて歯応えのある食感で小腹を満たせると打ち出し、現在に至るまでビジネスパーソンや10代から20代の若者に広く支持されている。

そもそもの話をすれば、コンビニ棚を見れば分かる通り、膨張するグミ市場の勢いがすさまじい。

「巨大だったガム市場が新型コロナウイルス禍の影響で縮小し、それにとって代わったのがグミ市場。グミは硬軟含めて様々な食感があり、消費者に受けている。ここ2年ほどは、特に硬さを売りにするハードグミが人気だ」(忍者めしブランド担当者)

この忍者めしシリーズも例に漏れず、近年、売り上げの最高記録を更新し続けている。

しかしながら、今回の鉄の鎧の売れ行きは「極めて異例」(忍者めしブランド担当者)だ。

ここまでのヒットになったのはなぜか。

ここからはヒットの要因を1つずつ解説していこう。

まず押さえるべきは、グミそのものの硬さだ。

先述の通り、忍者めしブランドはハードグミカテゴリーに入り、しっかりとした食感を売りにしているが、鉄の鎧はグミを分厚くすることでその食感をさらに硬くしている。

簡単にかみきれない弾力は、既存のハードグミに慣れた消費者を十分に満足させるものだ。

現在、グミ市場が膨張し続ける背景にあるのはハードグミ好きの存在で、そんな彼ら彼女らが飛びついたのは間違いない。

ただ、それだけではこの異例のヒットを説明できない。

この急成長市場には硬さを売りにする競合がいくつもあり、また、消費者の側にも“もっと硬いものを求めるインフレ現象”が起きていて、硬さ一辺倒ではすぐに飽きられるからだ。

そこで2つ目の要因だ。この鉄の鎧はグミの周囲を糖衣でコーティングしており、口の中でかんでまず感じるのは、実はざくっとした食感。

歯が糖衣を砕いたときの歯触りは既存のグミにはない独特の心地よいクランチ感で、これが消費者に受けた。

そして特筆すべきは、このクランチ感があることで、その後にかむグミ自体の硬さが強調される点だ。

満足度は一層高まる上、これまでにない“異質”の2つの食感を立て続けに味わえる仕掛けはくせになる。

ハードグミ好きの枠を超えて、グミ好き・お菓子好きの心をつかんだと言える。

なお、この糖衣コーティングには同社の「e-maのど飴」に使う技術を生かしている。

e-ma のど飴も一般的なあめやタブレットと異なり、独特のかりっとした軽い食感が特徴だ。

ハードグミに新食感も加えるというアイデアは、糖衣コーティングを知り尽くしたUHA味覚糖だから生まれた発想とも言える。

外側のコーティングと内側の硬くて分厚いグミを組み合わせ、全体としてのグミの硬さを極限まで強調した。

そして3つ目のヒット要因は、グミの硬さが期せずしてもたらした。

それは、再販まで4カ月も要したことによる「飢餓感」だ。

まずは、なぜこれほど長い期間を要したのかだが、忍者めし担当者はハードグミ特有の製造工程が大きく関係していると説明。

「グミに硬さや分厚さをもたせるには、乾燥時間が通常のグミよりも2倍、3倍と長くかかる。また乾燥スペースを鉄の鎧だけで長期間、占拠するのは生産面で難しいという問題もあり、生産量をすぐに増やすことができない」

また、品薄状態になるのを防ぐため発売時の2倍の量を確保したことも、再販までに時間がかかった要因だ。

しかし、それでも1週間ほどで売り切れた。

この4カ月は消費者にとっても、同社にとっても、もどかしい期間だったが、結果的に鉄の鎧の認知度を一層上げて、グミ好きを含む消費者の中に強烈な飢餓感を生み出した。

「TikTokなどで鉄の鎧の食感を取り上げてもらい、話題になった。当社が予測していないかたちでのバズり方で、とても驚いた」(忍者めしブランド担当者)

こうして認知度を高めた鉄の鎧はその希少性もあり、さらに関連動画がSNSで繰り返し再生されることに。

そして23年発売当時の第一波に乗れなかった消費者も知るところとなったのだ。

鉄の鎧は手に入りにくい状況が続くが、今後、改善の見込みはあるか。

この気になる疑問に対して、忍者めし担当者は「現在、24年秋の再々販に向けて準備中」と説明。

グレープ味の評判を受けて新味の開発を予定していたが、いったんストップさせて、生産量の確保に全力を注ぐという。

参照元∶Yahoo!ニュース