言葉がわかるトドの「ハマ」、人まねもできた! 世界初確認 学術誌に論文 豊岡・城崎マリンワールド

トドを撮影した写真

「日本一人の言葉が分かるトド」と名をはせる城崎マリンワールド(兵庫県豊岡市瀬戸)の人気者、トドの「ハマ」(雌・15歳)が、人の動きを見て相当する自分の部位を同じように動かす「人まね」ができることが分かった。

トドやアシカの仲間では世界で初めて確認されたといい、同施設の職員は研究者と論文にまとめ、6月に国際学術誌で発表した。

ハマは2009年7月、福島県内の水族館で生まれ、1歳11カ月の時に城崎に来た。

14年、言葉だけで指示を理解できていることに飼育員が気付き「ボイスサイン」の訓練を始めた。

敬礼やバイバイなど聞き分けられる言葉を10、20と増やし、22年には50種の聞き分けに成功した。

ハマの音声識別能力などは22、24年、マリンワールドの飼育員、佐々木雅大さん(35)らが研究者と国際学術誌に発表した。

動物の人まねはイルカや大型類人猿、犬、猫などしかしないとされていた。

しかしハマにもできるのではと考えた麻布大学獣医学部の今野晃嗣講師と佐々木さんらは23年10月、研究をスタートさせた。

まずハマにトレーナーの動きをまねするルールを教えた上で「立ち上がる」「舌を出す」「首を振る」まねを練習させた。

続いて動き方を認識済みの「投げキッス」「口開け」「うなずき」などのまねに成功。

人が立って片脚をぶらぶらさせる「脚振り」は、逆立ちして後ろ脚を振って返し、人とトドの体の違いに対応した。

さらに初めて見た「はーい(挙手)」「伏せ」のまねもクリアした。

動画を撮影して実証したが、論文審査は2回不採択になった。

人間が目や手の動きなど他のヒントを与えていないことを証明するよう求められ、トレーナーが動作した直後、仕切り板で姿を見えなくしてからまねさせるよう実験の条件を厳しくした。

ハマは記憶してやり遂げ、論文は3回目で審査に通ったという。

佐々木さんによると、最初にまねができていると確信したのは舌出しだった。

今野講師に「できませんでした」と伝えるつもりで試したところ、できてしまったという。

「頭の中が真っ白になり、鳥肌が立った」と振り返る。

「トドはこれまで考えられていた以上に賢い」と佐々木さん。

マリンワールドのショーで披露できるようハマの人まね技術に磨きをかける考えで「可能性は無限大。次はどんなことで驚かせてくれるかと楽しみで仕方ない」と目を輝かせる。

参照元:Yahoo!ニュース