岩手の名パティシエ・亀山弘能さん死去 著名人も愛した独自のケーキ

菊の花を撮影した写真

盛岡市や岩手県釜石市で洋菓子店を経営し、多くの弟子を育てたパティシエ・亀山弘能(ひろのり)(本名・弘則)さんが23日、食道がんのため盛岡市の病院で亡くなった。

71歳だった。

葬儀は近親者で行った。

遺骨は本人の希望で海に散骨される。

1954年、釜石市生まれ。

大阪でプロのトランペッターとして活動していたが、23歳の時に洋菓子店を営む父の望みで釜石市に戻り、菓子作りを学んだ。

5年後に上京。

洋菓子研究家の今田美奈子氏に認められ、東京・日本橋三越のティールームを任された。

以後、持病のぜんそくがきっかけで研究した小麦粉が少なめのケーキなど、独自のレシピを開発。

料理教室の講師をしたり、オープン前の他店に呼ばれてメニュー作りをしたりした。

88年、盛岡市で洋菓子店「アンナ・マリー」を開店。

2010年に閉店するまで16人のパティシエを育てた。

その傍ら音楽関係者に頼まれ、公演に来たリンゴ・スターさんや小田和正さんなど、数多くの有名ミュージシャンにケーキを届けた。

中でもピアニストの故・フジコ・ヘミングさんからは公演の前に直接連絡が来て、ピアノを模したチョコレートケーキなどを作る仲だった。

東日本大震災で父が営む2店のうち1店が消失。病気の父を継いで残りの1店で営業を続けた。

名物のロールケーキやキューブ型のチョコレートなどで復興に向かう住民を洋菓子で元気づけた。

昨秋、30年以上前に寛解した食道がんが再発。

病をおして営業を続けていたが、今春に「無期限休業」の貼り紙をして入院していた。

最期をみとった長女の櫻子(ようこ)さんは「洋菓子の味も人を笑顔にしたいという思いも本物でした」と話している。

参照元:Yahoo!ニュース