拡散SNSの3割以上が“Bot” 誤情報“自動拡散” 選挙への影響は

SNSの情報をチェックしている人

20日に迫った参議院選挙。

インターネット上で拡散される情報が、投票行動を左右しているといわれていますが、真偽が疑わしいものや、事実が曲げられているケースが含まれる恐れがある。

そうした情報の中には、意図的かつ自動的に大量拡散されている実態も見えてきた。

問題となっているのは、ニュース記事や、SNS上の反応などを取り上げて掲載する『JAPAN NEWS NAVI』。

今週、X上で、このサイトと、関連すると認定された複数のアカウントが相次いで凍結された。

『日本のニュースと日本人の反応をまとめたサイト』とうたっていますが、なかには誤った情報もあり、投稿が拡散されることを問題視する動きもあった。

愛知県の大村知事。

県のスタートアップ支援に関して、「19億円を外国人起業家支援に投入」と掲載されたが、誤りであると反論した。

愛知県 大村秀章知事(1日)「嘘を書けば、書くだけバズって、書いた人が得をする形というのは、絶対あってはならないことですから、ファクトチェックをして、しっかり規制をしていかなきゃいかんと」

SNS上のデータ分析などを行っている『Japan Nexus Intelligence』は、投稿が不審な拡散のされ方をしていると指摘する。

画面に表示されている赤い点。

機械的に投稿を拡散するプログラム、“Bot”とみられるアカウント。

人間の代わりに、自動で投稿を繰り返す“Bot”だが、『JAPAN NEWS NAVI』の投稿を拡散したアカウントを分析すると、この“Bot”が3割以上を占めていたという。

JNIヘッドアナリスト 竜口七彩さん「「よくあるのが『フォロワーが多いから』『いいね数・リポスト数が多いから』その投稿の信憑性を高く認識する方もいると思うが、一定程度、水増しがされているんだと、今回の結果を受けて、認識の中においてもらえると、情報をとるうえで、ひとつの選択肢になると思います」

今回、何が理由でアカウントが凍結されたのか、詳細は明らかになっていないが、Xでは「人を欺いたり、損害につながる可能性のあるコンテンツを共有すること」などが禁止されている。

番組では、X社と『JAPAN NEW NAVI』にコメントを求めましたが、現時点で、回答はない。

機械的な情報の拡散が行われるなか、政府からは、こんな発言も飛び出した。

平将明デジタル大臣(15日)「外国においては、“他国から介入をされる”事例などもみてとれるので、今回の参議院選挙も、一部、そういう報告もあります。検証が必要だと思いますが、注意深く見ていく必要があると思っています」

JNIによりますと、実際に“外国の勢力”が関与しているか判断するのは、きわめて難しいという。

JNI 高森雅和代表「私としては、これは、いま、断言できないと思います。多くの研究・調査が必要になりますし、それをしたとしても、この領域で犯人を突き止めるのは、非常に難しいと思います。“情報を取る”ことは大事ですし、そのときに反対の意見とか、一次情報ですよね、元々の情報を見に行く癖をつけないと、偏った意見になってしまうことを理解したうえで、それがあろうが、なかろうが“何を信じるか”は、ひとりひとりに委ねられるべきと思います」

『JAPAN NEWS NAVI』は、ほかのメディアの記事やSNSの投稿を要約した“まとめサイト”だ。

誰が運営しているのか、どこに拠点があるのかなどは、判然としておらず、ホームページ上では「主に日本のニュースと日本人の反応をまとめたサイト」としている。

政治や行政にまつわる情報も掲載されているが、なかには、誤りが指摘されるようなものも含まれている。

こういった情報を“Bot”と呼ばれる自動的に投稿されるプログラムによって、SNSで拡散されていた。

Botとは、指定した作業を自動的に行うプログラムのこと。

例えば、情報を拡散するように設計されたBotは、同じ文章を自動的に何度も投稿するため、投稿数を急増させて、話題を高める効果があるという。

『JAPAN NEWS NAVI』のホームページは閲覧ができる一方で、理由は明らかにされていないが、Xにアカウントを凍結され、Xでの投稿ができなくなっている。

情報戦やサイバー戦に詳しい広島大学法学部の佐々木孝博客員教授は「簡単に、効率的に情報拡散ができるBotは、世論分断などを目的として、偽情報を流すために利用されるメインツール」だと話す。

また、こうしたBotを使った情報介入は、「国を跨いで行われていて、日本も例外ではない」という。

どんなタイミングに狙われるのだろうか。

佐々木客員教授は「国政選挙や国際関係が動くときなど、世論が二分されるときに、狙われる可能性がある。日本は、これまで日本語という“言語の壁”で守られていたが、AIの発達で日本語の壁も段々となくなりつつあり、海外からの偽情報に触れる機会も増えるのでは」としたうえで「フェイクニュースだけでなく、事実を都合よく切り取って、人の心に印象を残す物語も拡散される。これは、ある種“ウソではない”ので、ファクトチェックが効かず、対策が難しい」と指摘する。

参照元:Yahoo!ニュース