破傷風ワクチン“出荷停止” 医師が警告「けがしないで」 病院混乱「在庫わずか」

医療をイメージした写真

破傷風のワクチンが出荷停止となっている。

医師が「今年の夏はけがをしないようにしてほしい」と呼び掛ける事態となっている。

7月に入って続いている不安な空模様。

各地で大雨による冠水の被害も相次いでいる。

それに伴い高まっているのが、ある感染症へのリスクだ。

埼玉成恵会病院 長谷川岳弘救急センター長「そういう時にけがをされますと、泥水ですのでね。土壌には『破傷風の菌』が多数存在しますので、傷から入ってしまうこともあります」

破傷風とは、土の中などに存在する菌が傷口から侵入することで発症する感染症だ。

感染すると、顔の筋肉がこわばるといった症状から始まり、進行すると全身のけいれんや呼吸障害が起こり、国立健康危機管理研究機構によると、死亡する患者の割合は10%から20%と報告されている。

梅雨が明けて本格化するキャンプや屋外のスポーツでけがをした場合も、破傷風のリスクがある。

70年ほど前まで年間1000人ほど破傷風に感染していたが、近年は100人前後に抑え込んでいる。

背景にあるのは、ワクチンの接種と言われている。

長谷川救急センター長「『破傷風トキソイド』を含め、発症しないように予防するのが最大の治療だと思います」

破傷風トキソイドは、破傷風の恐れがあるけがをした患者に投与し発症を予防するワクチンだ。

ところが先週、日本救急医学会・日本外傷学会から驚きの発表があった。

「破傷風トキソイドの出荷を一時停止するとの発表がありましたので、会員の皆様にお知らせいたします」

製造元の会社によると、ワクチンの製造工程で定期的に行っている検査について、再検証する必要があり時間がかかるため製品の出荷を一時停止しているという。

埼玉の病院でも混乱が起きていた。

埼玉成恵会病院 薬剤師 大野さん「在庫の残りと、きょう納品予定があと10回分ですかね。普通に使い続けたら、1カ月以内に終わってしまう量です」

医師は夏休みを前に、警戒を呼び掛けている。

長谷川救急センター長「トキソイドがあってこその破傷風の予防もあるので、心配は心配。野外でけがをするのは、夏が圧倒的に多いと思います。けがをしないように注意していただくのがいいと思います」

参照元:Yahoo!ニュース