代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

中古車をイメージした画像

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。

こうしたトラブルが後を絶たない。

背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。

倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

上半期(1-6月)の中古車販売店の倒産(負債1,000万円以上)を振り返ると、リーマン・ショックや東日本大震災など消費が低迷した時期に増えている。

2012年上半期は64件に達し、この期間で最多だ。

その後はコロナ関連の資金繰り支援が奏功し、倒産は抑制されたが、ここにきて急増している。

中古車販売店の関係者は、潮目が変わったのは2023年に表面化した(株)ビッグモーター(TSRコード:750059338、現:(株)BALM)の事件と口をそろえる。 

ビッグモーターの特別調査委員会による報告書(2023年6月)では、最大手の不正が明らかになり、業界を揺るがす事態になった。

その後も中古車販売店の不正な保険金請求などが明るみになり、業界の信用が失墜した。

また、半導体不足による新車価格の上昇に加え、人気車種は数カ月~1年以上も納車待ちとなり、中古車の価格も上昇した。 

新車の生産ペースが落ち着いても、カーシェアやレンタルなどニーズが多様化している。

それにも増して高価な中古車へのユーザーの眼が厳しくなった。

2025年に入ると中古車販売店の倒産が急増。

1-5月は48件が発生し、2016年以降では最多ペースで推移している。

顧客とのトラブルが表面化するケースも目立つ。

(株)カートップ(TSRコード:693767278)は5月19日までに事業停止し、破産手続きを弁護士に一任した。

SNSでは、カートップへの売却代金が支払われていないとの書き込みが相次ぐ。

同時期、中古車店「CARNEL(カーネル)」運営の(株)WOOROM.(TSRコード:296487406)も、「支払いを済ませたのに納車がされない。返金にも応じてもらえない」とのトラブルが表面化した。

東京商工リサーチが周辺を取材したものの、インターフォンの呼びかけに応答はなく、事業を再開した様子はみられない。

中古車販売店は買い取りも手掛けるため、一般消費者の目線では、車両売却代金の後払い、購入代金の前払いなど、販売店の信用が重要になる。

4月の実質賃金は前年同月比1.8%減と4カ月連続でマイナスとなるなか、提示金額だけを売りにする業者への視線は厳しくなりつつある。

参照元:Yahoo!ニュース