「はやり目」は夏だけではない?侮ってはいけない「アデノウイルス」による症状と予防策

はやり目をイメージした写真

目が真っ赤に充血し目やにが止まらない…。

急にこのような症状が現れたら「流行性角結膜炎」、いわゆる“はやり目”を疑ってほしい。

ウイルスが原因で起こる目の病気で、非常に感染力が強いのが特徴だ。

夏の時期に多く見られるが、今年は例年よりも早い時期に患者数が多い傾向にあるようだ。

SNSでも「眼科行ったらアデノウイルスのはやり目だったー」「子供達が通ってる小学校ではやり目が流行ってる」などの投稿を見かける。

実際、国立健康危機管理研究機構の感染症情報提供サイトを見ると、2025年のはやり目の患者報告数は過去5年の中でも比較的高い水準で推移している。

自分や家族が感染しないように、今すぐにでもしっかりと対策をしておきたいところだろう。

またそもそも、はやり目の症状や感染中の注意点は?

気になる疑問を横浜市にある「かめざわ眼科」院長の亀澤比呂志さんに聞いた。

はやり目の原因は「アデノウイルス」で、感染するとまぶたの裏側と白目を覆う半透明の膜からなる「結膜」に炎症が起こる。

結膜は外気と接しているため、細菌やウイルスなどが侵入しやすいという。

主な症状は「目がひどく充血」「目やにが多量に出る」「ゴロゴロとした異物感」「痛い、かゆいなどの違和感」など。

個人差があり、風邪の症状(のどの痛み、発熱)を伴うこともある。

症状が治まるまでの期間は早い人で1〜2週間、長引くと1カ月近く症状が続く人もいるとのことだ。

そんなはやり目で一番注意しなければならないのが「強い感染力」。

「アデノウイルスの主な感染経路は、接触感染です。ウイルスは炎症が起きている目の周りで増殖し、目やに・涙などの分泌物にいます。感染者が触れた食器などの物を介して他の人にもうつるのです。また咳による飛沫感染もあります」

このアデノウイルスは他にも厄介なことがある。

いろいろな型(種類)があることから、一度感染して免疫ができたとしても、すぐに別の型のアデノウイルスに感染する可能性もあるのだ。

では、感染力が強いアデノウイルスから身を守るためにはどうしたらいいのだろうか。

家族がはやり目になってしまった場合は、なるべく接触を避けるのが基本。

徹底してほしいのが、「場所を共有しない」「使うものを分ける」「タオルやハンカチの共用は避ける」「感染者の入浴は最後」だと、亀澤さんは話す。

「誰でも無意識に、手や指で目をこすってしまいますよね。その手で食器やドアノブなど同じ物を触ってしまうことで、ウイルスが家族に感染してしまいます。食事や睡眠は別々の部屋でとること、タオルやハンカチは感染者と分けることをおすすめします」

それでも心配な場合は、割り箸や紙皿、ペーパータオルなどの使い捨てで対応するのも一つの方法だ。

感染予防では、「手洗いやアルコール消毒で手を清潔にしておく」「むやみに目を触らない」ことが大原則となる。

自身が感染者の場合は、さらに広げないためにも医師の指示をしっかり守ってほしい。

「症状が治ってきたと感じても、ウイルスが体内に残っている可能性があります。外に出れば自分が感染を広げる原因にもなります。決して自分の判断で行動しないでいただきたいです」

目が充血するなどの違和感があったら眼科へ行き、診察のスケジュールを守ること、医師の判断を仰ぐことが第一。

幼稚園や小学校では、伝染のおそれがなくなるまで出席停止となる「学校感染症」にも指定されている。

医師の指示があるまで、登園や登校はできないという。

大人も職種によって会社を休むのが賢明とのこと。

大人も子供も、治療中は人混みを避けるなどの対策をとってほしいそうだ。

また、はやり目と思って診察を受けたら、実はアレルギー性結膜炎だったということもあるという。

症状の原因を明らかにするためにも、やはりすぐに眼科でみてもらうのが良いだろう。

最後に、現状としてはやり目を治す有効な薬がない。

眼科では炎症を軽減する点眼薬が処方するのが一般的だ。

つまり、なるべく早く治すには「他人との接触を控えて安静にしておく」ことが基本。

もちろん、目を酷使するのはNG。

目が荒れている状態で酷使することは、症状のさらなる悪化につながる。

特にパソコン・スマホの見過ぎ、ゲームのやり過ぎは目に乾燥をもたらすという。

目やに・充血などの症状を長引かせることになり、治りが遅くなってしまうそうだ。

「はやり目はそのうち治る」などという甘い考えでいると、重度の炎症で角膜が白く濁ってしまうことも。

視力の低下や、まぶしさを感じるなど見え方に違和感が生じ、後遺症として残るケースもある。

いつどこで感染するか分からないはやり目。

予防を徹底し、少しでも目に違和感があれば眼科を受診してほしい。

参照元:Yahoo!ニュース