蒜山焼きそばの名店「やまな食堂」が“事業承継”で復活!51歳会社員はなぜ“新店主”に?

惜しまれつつ去年閉店した、40年の歴史を誇る「ひるぜん焼きそば」の名店が、今月営業を再開した。
RSKイブニングニュースで閉店の様子を放送したことが、復活のきっかけになったという。
一体何があったのだろうか?
なつかしいタレの味。
誰もが心待ちにしていた名店の復活だ。
(常連客)「そうですね。変わらない味ですね」
岡山県真庭市蒜山地区のソウルフード、「ひるぜん焼きそば」の老舗として知られる「やまな食堂」だ。
「ひるぜん焼きそば」は、2011年にB‐1グランプリで優勝したことで一躍有名になり、客足の途絶えない人気店となった。
創業者の山名百合子さん(82)だ。
息子で店主の君明さんともに、店を切り盛りしてきたが、おととし(2023年)くも膜下出血で倒れ入院。
奇跡的に一命をとりとめたが、体力の衰えと慢性的な人手不足が理由で、去年の11月末に40年の歴史に幕を閉じることとなった。
(山名食堂元店主 山名君明さん)「スタッフが少ない中で、店を臨時休業するというふうに迷惑をかけるのも申し訳ないので、やむを得ない決断だったと思います」
昨年秋の閉店直前には、「名物の焼きそばを最後に味わいたい」と、大勢の常連客が押し寄せていた。
(常連客)「なんだかがっかりしています。寂しいです」「他もけっこうありますけど、僕はこの店が一番だと思っています。けっこうボリュームもあるし、好きだったんですけれど…」
あれから半年あまり。閉店したはずの「やまな食堂」に新たな動きが…。
(秋庭貴泰記者)「なんと後継者が現れ、営業を再開することになりました」
真庭市に住む切明武志さんだ。
車や家電の部品を作る会社に勤めていたが、あるきっかけで「やまな食堂」を継ぐことになった。
(やまな食堂店主 切明武志さん)「12年ほど製造業に携わっておりまして、『このまま定年を迎えていいのかな』と…『やっぱり調理の世界にもどりたいな』というなかでお声掛けいただいたので…」
元々、大阪で調理の仕事をしていたという切明さん。
15年前、真庭市で一人暮らしをしていた母親と暮らすため、仕事をやめ移住しました。
地元の製造会社に就職したが、月日がたつにつれ「もう一度調理の仕事をしたい」という思いが強くなっていったという。
そんな切明さんの背中を押すきっかけとなったのが…。
(RSK山陽放送 坂井亮太キャスター)「これですよこれ。これを食べに僕も蒜山に来ましたから」
やまな食堂の閉店を伝える、RSKのニュースだった。
(やまな食堂店主 切明武志さん)「RSKイブニングニュースの放送を見た、会社の従業員もいて」
切明さんは、放送でやまな食堂の閉店を知った友人から「夢を実現するチャンスでは」とアドバイスされたという。
(やまな食堂店主 切明武志さん)「何人かにおすすめいただいたので、挑戦してみようかと思い立った次第です」
「店を継ぎたい」と打診をうけた山名さん親子は、驚きを隠せなかったという。
(やまな食堂元店主 山名君明さん)「それは嬉しかったですね。『やまなの味を引き継いでくださる』というふうなことも言ってくださって」
(やまな食堂 山名百合子さん)「ちょっと一安心。閉めてから店の前を通るとき、『なんだか空しいな…』と思っていたので」
4月に勤めていた会社を辞め、正式にやまな食堂の店主となった切明さん。
レシピを百合子さんに教わり、同じ味が出せるよう猛特訓したという。
ーどうですか?仕上がりは
(やまな食堂 山名百合子さん)「だいぶいいと思います」
ー上達しました?
(やまな食堂 山名百合子さん)「それはやっぱり元々経験があるから、手際がいいと思うよ」
ーお褒めの言葉をいただいていますが?
(やまな食堂店主 切明武志さん)「ありがとうございます。まだまだでございます」
さらにサイドメニューを減らし、少人数でも営業できるよう工夫した。
(やまな食堂元店主 山名君明さん)「もう今は、開店前のワクワクでいっぱいですね」
こうして迎えた6月2日。
ついに「やまな食堂」が復活だ。
「はいお待たせ致しました」
平日にも関わらず次々にお客さんが訪れ、店内は大忙し。
やまな食堂が再び活気に包まれた。
以前と変わらない味に常連客も感無量のようだ。
(常連客)「最後の最終日まで食べておけばよかったなと後悔する感じだったんですけど、復活と聞いてすぐに来てしまいました」
「以前の味をしっかり引き継いでいるので、大変うれしく思います。閉店したときは、泣けたぐらいだったんですけど…またやり手が見つかったと聞いた時はめちゃくちゃうれしかったです」
切明さんも、確かな手ごたえを感じたようだ。
(やまな食堂店主 切明武志さん)「まだまだね、始めたばっかりなので、お母さんの足元にも及んでおりませんが…及んでおりませんが、まあがんばって日々精進して…」
(山名百合子さん)「追い抜いてるんじゃないかな」
創業から41年。
地域で愛される「ひるぜん焼きそば」の名店が、新たな歴史を刻みはじめました。
なお、やまな食堂では働いてくれるスタッフを募集中。
それよりも優先して、切明さんは「お嫁さんを募集中」と話していた。
参照元:Yahoo!ニュース