DV被害訴える男性増加 相談件数5年で約1.5倍 特有の事情とは

DV=ドメスティックバイオレンスの被害を訴える男性が増えている。
パートナーからの暴言や暴力に耐えながら悩みを共有することが難しい男性ならではの実情を取材した。
男性がDV被害を受けるケースが増加している。
警察庁によると、去年の相談件数がおよそ2万8000件と、5年間で9000件近く増加している。
横浜にある被害者を支援する団体。
今年から、男性被害者専用の相談会を開た。
腕力で勝る男性が、なぜ被害者になってしまうのだろうか。
NPO法人 女性・人権支援センター ステップ 栗原加代美理事長「『やめろ』って言って手をつかむ、肩をつかむ。『(相手から)今あなたがDV』ということで」
手を出して止めたりすることで、逆に「加害者」にされてしまうケースも。さらに…。
栗原加代美理事長「男性の場合はあまり人に相談しないんですよね。自分で抱え込んでしまうので、それで精神的にも追い詰められていく。そして自殺に走るというケースもあるかと思います」
警察庁の統計によると、去年のDVによる自殺者数は99人。
そのうち男性がおよそ8割を占めている。
実際にDV被害を受けている男性に話を伺った。
妻からDV被害 Aさん(40)「具体的には殴る蹴る。相手が女性なので、素手で殴る蹴るもあったが、物を投げる、物でやられるのが非常に多かったかな」
40歳の会社員Aさんは2度目の結婚後、現在の妻からDV被害を受けているという。
「切り付けは複数回ありました」
「(Q.具体的には?)向こうの求める答えではないのか、もう収まらなくて、腕の辺りを切り付けられたりとか」
「(Q.包丁ですか?)当時は包丁でした」
警察からは被害届の提出を勧められた。
「自分の大切な人、愛する人に社会的な制裁を与えてもらうとか、被害届、告訴状を出し犯罪者に…それがすごく抵抗感がある」
また、手を出して止めたことでAさん側が「加害者扱い」されたケースもあり、逃げ出すにも抵抗するにも難しい状況が続いた。
栗原加代美理事長「社会の中で生きていく時に(男性は)離婚は恥ずかしいことと思ってしまうのでは」
被害を訴えると社会的地位に影響し、離婚となると子どもを失う可能性も…。
男性被害者はDVから逃れられず、より悪循環に陥ってしまう傾向にあるそうだ。
さらに深刻なのが「言葉の暴力」。
栗原加代美理事長「ある意味では身体的暴力と違って言葉の暴力は『魂の殺人』とも言われているぐらい、かなり深く傷付くんですね」
支援団体では「相手を支配するために圧力を掛ける行為」もDVと定義。
「言葉の暴力」を行うのは女性の方が多いといいます。
栗原加代美理事長「私はすべての人に加害性・被害性があると思っています。相手から攻撃されたり文句を言われたりすると誰でも『怒り』になると思うんですよね。『怒り』になると何日間も口を聞かないとか、無視するとか、不機嫌になる、これもある意味では相手を傷付ける行為になるわけですよね」
夫婦のささいな行き違いが知らず知らずのうちにエスカレート。
気が付かないうちに抜け出せない状態に…。
支援団体は「少しでも早く相談に来てほしい」としている。
参照元:Yahoo!ニュース