赤沢再生相、米関税で6回目協議へ 参院選控え政治的思惑も

日本とアメリカの国旗を撮影した画像

米国の関税政策を巡り、赤沢亮正経済再生担当相は6回目の日米閣僚協議に臨む。

来週開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米首脳会談が行われることを想定した交渉となるが、焦点の自動車分野で米国側から譲歩を引き出せるかは依然として不透明だ。

日本国内では約1カ月後に迫る参院選をにらみ政治的な思惑も交錯、決着を急ぐ必要はないとの声も出ている。

日米はG7サミット期間中に両国首脳が対面で会談し合意することを視野に交渉を進めてきたが、過去5回の協議で一致点を見い出すには至らなかった。

赤沢氏は交渉の道筋は「五里霧中」としつつ、ぎりぎりまで詰めの協議を進める。

交渉は、1)両国間の貿易拡大、2)非関税障壁の見直し、3)経済安全保障面での協力を盛り込んだ、トランプ大統領が納得する包括的なパッケージを構築できるかがカギとなる。

日本側は「交渉を急ぐと足元を見られる」として、明確なデッドラインは示していない。

しかし、7月9日に控える相互関税上乗せ分の停止期限を念頭に調整を続けてきた。

そうした中、赤沢氏のカウンターパートでもあるベセント米財務長官は11日、交渉が合意に至らないまま期限を迎えた場合でも、誠意を持って交渉している相手国に対しては期限を延長する用意があると述べた。

日本政府関係者からは「われわれは真摯に交渉している。7月9日までに決着できなければという懸念はあったが、延長の可能性が出てきたことで、交渉にある程度の時間的余裕が生まれる」との声も聞かれる。

関税交渉をにらみ、与党内では参院選への影響を懸念する声も高まっている。

ある自民党議員は「相互関税の上乗せ分だけを取り下げた程度では期待外れという反応が出てしまう。それくらいなら参院選が終わってからの着地に繰り延べてもいい」と本音を吐露する。

同議員は、党内に日米首脳会談に対する過度な期待は感じないという。

「変な着地をされるのが一番困るというムード。日本が求める線で決着すれば、手のひら返しで大絶賛されると思うが、その可能性も高くないのでは」と話す。

ある経済官庁幹部は、日米交渉の帰結は参院選を控えた国内向けのプレゼンテーションになるとの見方から「日本の次のデッドラインは参院選」と指摘。

その上で「自動車分野は継続協議とし、それ以外の分野で合意したという見せ方もあり得る。それでも選挙への影響がプラスになるなら十分意味がある」と語る。

参院選は7月3日公示、同20日投開票の日程で行われることが有力視されている。

赤沢氏は「『五里霧中』というのは20キロ先まで霧が立ち込めているということだが、日の出とともに霧が晴れることもあるし、なかなか晴れないこともある」と説明。

6回目協議には霧の状態がどうなるか予断を持たずに臨むという。

石破首相は「G7サミットで大統領に会う。それまでに一定の前進があればそれはそれで良いが、早期に合意することを優先するあまり日本の国益を損なうことはない」と強調する。

参照元:REUTERS(ロイター)