「美味しいが“卸の使命”」小泉大臣の要求に卸売業者が悲鳴 「最後の切り札」緊急輸入で市場の“けん制”も

大手コンビニでは、小泉大臣肝いりの政府備蓄米の販売が始まった。
小泉氏は、価格が下がらない理由として、流通の問題点を指摘している。
広島の卸売業者を取材した。
小泉進次郎 農水大臣(5日)「これが…噂の…」
カメラの前で感心して見せたのは、小泉農林水産大臣。
5日に視察したのは、コンビニに並んだ備蓄米だ。
そしてアピールしたのは…
小泉農水大臣「よくこのスピードで作られましたね」
卸売業者を通さない「随意契約」での“速さ”を賞賛。
小泉農水大臣「随意契約でいきなり小売にという形で、こんなに早く届く。(入札した備蓄米との)流通の違いも明らかになった」
しかし小泉大臣肝いりの随意契約のコメも、今後はスピードが落ちる可能性も。
随意契約で放出した備蓄米の8割は、精米工場を持たない小売業者に引き渡される。
小泉農水大臣(3日)「いま精米してくれるところを探している事業者がいることは事実。どれぐらいの余力が、精米の施設の中であるのか(調査が必要)」
小売業者の中で精米の需要が増す中で、小泉大臣が協力を仰ぐとしたのが、随意契約からは外された卸売業者だ。
日本最大の精米工場を持つ、広島のコメ卸売会社「食協」を訪ねた。
この工場の精米能力は、1時間に30トン。
随意契約で備蓄米を手にした小売業者から、精米の依頼が相次いでいる。
コメ卸売会社「食協」武信和也 社⻑「十数社から一応依頼が来ています。来週以降は24時間態勢を考えて、1日でも早く市場に商品として出したい」
24時間態勢は初めての試み。
人員の確保など課題も多く、余力のない業者も多いのではという。
そしてもう一つの問題は、江藤大臣の時代にJAなどの大規模な集荷業者に放出された備蓄米が、5月半ばの段階でまだ2割ほどしか市場に出ていないことだ。
小泉農水大臣(5日)「集荷から卸から小売りから消費者と、上から順番に流すということが、スピードも含めて相当な課題になっている」
これに対し、備蓄米を大量に抱えるJAは…
JA全中 山野徹 会長(5日)「現在、輸送の確保や出荷の前倒しなどに取り組んでおり、全農が備蓄米の供給を渋っているということは全くございません」
さらに備蓄米の売り方をめぐって、卸売業者には小泉大臣とは考え方の違いがあるようだ。
江藤大臣の時代に放出された備蓄米の流通を早めるように求める小泉大臣。
これに対し、卸売業者は「そう簡単にはいかない」と言う。
コメ卸売会社「食協」武信和也 社⻑「やはり消費者の口にあった、おいしいお米を作り上げるのが、卸の使命だと思っております」
小泉大臣の掛け声とともに店頭に並びだした随意契約の備蓄米は、古い玄米を精米しただけのもの。
通常の銘柄米と比べ、味が落ちることは否定できない。
コメ卸売会社「食協」武信和也 社⻑「やはり1年2年経ちますと劣化ですね、コメ自体の力がなくなったり、また臭いがね」
「食協」では、まず備蓄米を試食して味を吟味。
古い米でも違和感なく食べられるよう、他の銘柄米とブレンドして出荷するという手間をかけている。
こうしたブレンド米の店頭価格は、5キロで3500円ほどになっている。
小泉大臣は、その値段を巡って…
小泉農水大臣(3日)「やはり今の現状を考えたら、より消費者の皆さんに手に取りやすい価格で、店頭に並べていただきたい」
小泉大臣自ら、ブレンド米も値段を下げてほしいと言っている状況に対し…
コメ卸売会社「食協」武信和也 社⻑「ブレンド米という中で広島県内産の(60キロ)3万円4万円以上のものを買って、コメが足りない中で備蓄米にまぜていく。赤字になりますので出来ないですね」
ブレンドする銘柄米が高騰している以上、価格を下げるのは難しいという。
一方こうした中、6日からは大手スーパーが独自にアメリカから輸入したコメの販売も始まった。
小泉大臣は、このままコメの高騰が続き備蓄米が底をつけば、政府としての輸入も辞さないという。
小泉農水大臣(6日)「緊急輸入。こういったことも含めて、あらゆる選択肢を私は持って向かいたい」
市場をけん制したともいえる発言。
その思惑通り、一般の銘柄米の価格も下がってくるのだろうか。
参照元:Yahoo!ニュース