食べきれなかったら持ち帰りOK、飲食チェーンでも 「自己責任」食中毒には注意を

食品ロスをイメージした画像

食品ロス削減のため、客が食べきれなかった料理の持ち帰りに対応する飲食店が増えている。

食べ残しの持ち帰りを促進する国の指針も公表された。

一方、これから気温が上昇し、食中毒のリスクが高まる時期だけに、持ち帰る際は注意したい。

うどんやそばなどの飲食店を展開する「グルメ杵屋」(大阪)は、4月から全国の280店舗で、客が食べきれなかった料理を持ち帰れるようにした。

持ち帰り容器も50円で販売。天ぷらやカツ丼のカツなどを持ち帰ることができる。

同社の担当者は「食品ロス削減のため、食べきれなかった分は持ち帰る文化を普及させていきたい」と話す。

ガストなどを運営する「すかいらーくホールディングス」(東京)でも、約2400店のファミリーレストランで、食べ残しの持ち帰りに対応。

注文用のタブレットで、「もったいないパック」(20円)を注文すると、容器と持ち帰り用の袋が運ばれてくる。

袋に「帰宅後の再加熱が可能なものをお持ち帰りください」「冷蔵保管しなるべく早くお召し上がりください」などの注意点が書かれている。

東京・飯田橋の「ホテルメトロポリタンエドモント」では、レストランや宴会で残った食事が持ち帰れる。

ただし、持ち帰れるのは、しっかり加熱されているフライドチキンやピザなどホテル側が定めた食品に限られる。

同ホテルを運営する「日本ホテル」によると、九つのホテルで取り組み、2024年度は年間700件ほどの利用があったという。

食品ロスは、22年度の推計では472万トンに上るとされ、そのうち飲食店が60万トンを占めている。

こうした状況から、消費者庁などは昨年末、食べ残しの持ち帰りを促進する指針を作成した。

これまでは食中毒などが発生した際の責任の所在が曖昧で、飲食店からは「導入が難しい」などの声があった。

指針では持ち帰りは消費者の自己責任であることを前提とした。

東京都杉並区では、区が容器を提供する形で、自治体として食べ残しの持ち帰りを支援してきた。

区の担当者は「指針が示されたことで、飲食店も取り組みやすくなる」と話している。

これからは、気温の上昇とともに食中毒のリスクも高まる。

国の指針では「暑い時期は長時間の持ち運びは避ける」など、消費者が注意すべき事項を示した。

指針の策定に携わった国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長の上間匡さんは、「食中毒を防ぐためには、菌をつけないことや、増やさないことが大切」という。

清潔な容器、箸を使い、汁気のあるものは汁気を切ってから容器に入れる。

「せっかく持ち帰ったのだから」との気持ちになることもあるが、「少しでも気になる場合は食べないで」と話す。

「まずは、食べきれる量だけ注文することを心掛け、持ち帰る際は衛生管理を徹底してほしい」と呼びかけている。

参照元:Yahoo!ニュース