メガネのからぶきはやめて!正解は「水洗い」お手入れのNGとOKをプロが解説 台所用洗剤の使用も劣化リスクあり

日常のメガネのお手入れとして「レンズの汚れが目立ったらメガネ拭きで拭いている」という人は多いだろう。
「実は、その方法ではむしろレンズを傷つけてしまいます。メガネは必ず水洗いしてから拭いてください」
そう教えてくれたのは、埼玉・行田市のメガネ店「サカタメガネ」店主の坂田頼彦さん。
坂田さんにメガネのお手入れのNGとOKを聞いた。
「ホコリ等が付着した状態でレンズをからぶきすると、レンズに傷が付いたり、コーティングが剥がれたりする恐れがあります」
そのため、レンズが汚れている場合は「まず水洗いをすること」が大切だ。
「水道の流水でメガネ全体を水洗いし、それから水分をやさしくしっかり拭き取りましょう。レンズの水滴を放置すると、水滴の跡が『水焼け』として残って修復が難しくなる場合もあるためです」
水洗い後にレンズを拭くのはティッシュペーパーでも問題ないそうだ。
「『ティッシュペーパーでレンズを拭くのはダメ』と思っている方もいるかもしれませんが、ダメなのはティッシュではなくて『からぶき』です。もちろん、メガネ掃除用のウェットティッシュやメガネ拭きのほうがレンズへの負担は少ないですが、水洗いで汚れを落とした後でしたらティッシュで拭いても問題ありません」
なお、水道が使えない環境でどうしてもレンズの汚れを落としたい場合は、ウェットティッシュのような水分を含んだもので拭くと、レンズへの負担が少なく済むそうだ。
メガネの汚れがひどい場合は、何かしらの洗剤を付けて洗いたくなるだろうが、台所用洗剤の使用には注意が必要だ。
「昔はメガネ店でも『台所用の中性洗剤を薄めて洗ってください』とお伝えしていたが、最近の台所用洗剤には『弱酸性』や『弱アルカリ性』のものも増えています。そして洗浄力も強くなったため、メガネの洗浄に使うとコーティングの劣化等の原因になる場合があります。台所用洗剤を使いたい場合は、水をためた桶などに1滴垂らすくらいで十分です。しっかり洗いたい人はメガネ専用のクリーナーを購入したほうが安心です」
昔から売られている台所用洗剤には中性のものもあるが、やはり素人はむやみに使わないほうが無難だろう。
水洗いと拭き掃除の頻度は、「毎日が理想的」と坂田さん。
「メガネのレンズやフレームにはホコリ等が付着するほか、汗やお化粧、整髪料でも汚れます。そうした汚れも放置すると、レンズやフレームの劣化の原因になります」
レンズ業界大手のHOYAのレンズの取扱説明書でも「化粧品、整髪料、ヘアスプレー、汗、(中略)などがついた時は、すぐに水洗いをしてよく落として拭き取ってください」とある。
水洗いと拭き掃除の手入れは、本来は1日1回どころか「汚れるたび」に行うべきなのだ。
「もちろん汚れた直後に洗えない場合が多いでしょうから、せめて1日メガネを使ったらその日のうちに洗いましょう。汗やお化粧の汚れを放置してレンズが見づらくなってしまうと修復が難しく、レンズ交換が必要になる場合も多いですから。逆に、毎日しっかり汚れを落としていれば、それだけでメガネのもちは良くなります」
なお女性の場合は、化粧が鼻あての部分に付きやすく、放置すると鼻あての変色の原因に。
また蝶番(ちょうつがい)のネジ等も、汗や整髪料で腐食して動きが悪くなることがあるという。
そのためメガネを洗うときはレンズだけでなく全体を洗うようにしよう。
メガネを長く使っていると「何だか前より見えづらくなった」「メガネがズレやすくなった」といった不具合が起きやすくなる。
また、そうした変化に本人が気付けなかったり、原因がわからなかったりする場合も多いだろう。
そのため定期的にメガネ店にメガネの状態を見てもらったり、フィッティングを調整してもらうことも大切だ。
筆者も購入から2年ほどたったメガネを坂田さんに見てもらったところ、フレームが曲がっていたことと、鼻あての劣化でメガネが落ちやすくなっていたことが判明。
指摘されて初めて気付いたが、坂田さんに簡易的な調整をしてもらっただけで、メガネは落ちてこなくなり、装着感も圧倒的に良くなった。
「フレームは何らかの衝撃で曲がってしまうことがありますし、鼻あても汗等が原因で劣化しやすいパーツです。鼻あては一体型のものでなければ店舗で交換ができますし、しっかりした調整は購入店舗で行っていただくことをお勧めします」
大手のメガネチェーンでは、3カ月に1度ほど店舗を訪れてフィッティング等の調整をすることを呼びかけているところが多い。
そこまでの頻度では難しくても、定期的に店舗でメガネをチェックしてもらえば、かけ心地は向上し、メガネの持ちも良くなるはずだ。
参照元:Yahoo!ニュース