ニューヨークに「すしデフレ」到来、58ドルおまかせメニューも登場

寿司を食べている人

ニューヨークは世界でも有数の高級すしの街で、日本国外で最も期待できる「おまかせ」を提供する場所の一つだ。

値段も超一流。

ここ数年、「すし匠」の中澤圭二氏のような著名すし職人がニューヨーク入りすると、飲み物を含め1人1000ドル(約14万3000円)に達する状況となっていた。

だが今、逆の流れが始まっている。

シェフやオーナーたちは、高品質な日本産魚介をネタに、時間をかけず、もっとカジュアルに提供するおまかせに注力し始めている。

しかも、価格が大幅に安い。

老舗すし店で修行したシェフが多く、アッパーイーストサイドやブルックリンなどで、より気軽にすしを食べられる店を開いている。

例えば、ニューヨークの本格江戸前すし「Sushi Noz」出身のホルヘ・ディオニシオ氏は、ペルー風のアレンジを加えた「Kansha」をオープン。

高級おまかせにおじけづいたり高過ぎて手が出なかったりする人々を目にしてきたとし、「それを変えたい」と話した。

18品で145ドルのコースを提供する。

高級店の一部でも動きが見られる。

Sushi Nozのミシュラン星付き姉妹店「Noz 17」は最近、465ドルのコースに代わり、195ドルのミニおまかせの提供を4席のプライベートカウンターで始めた。

6月には7席のメインカウンターでも同様の対応を予定している。

コスト意識の高まりは、日本から輸入される魚介類の価格に関税の影響で不透明感が生じたことを受けてのものだ。

NY市内でカジュアルな10店舗を運営するウメ・ホスピタリティー・グループの創業者、リンダ・ワン氏は、日本産シーフードの一部仕入れ先が価格を最大15%引き上げたと語る。

ワン氏自身も値上げを検討中だが、それでもニューヨークの基準に照らすと非常に安い。

「Tsumo」の2店舗では58ドルで13品のコースを提供している。

以下にこれらの店の詳細を紹介する。

Kansha、アッパーイーストサイド(18品で145ドル)

元「Sushi Noz」の職人でペルー出身のディオニシオ氏が、日本とペルーを融合させた日系スタイルですしを提供。

6席のヒノキのカウンターにはペルーの生地で作られた鮮やかなランチョンマットが並んでいる。

豊洲市場から仕入れた魚をベースに南米の風味を添えたおまかせは、スズキのセビーチェなど約4品の前菜から始まる。

握りは伝統的なスタイルで、ホタテや北海道ウニといった季節の食材を提供。

その後に巻物や味噌汁、玉子。最後にブラウニーとアイスクリームで締めくくる。

NOZ 17、チェルシー(14品で195ドル)

Noz 17は開店当初、アッパーイーストコーストの旗艦店よりも冒険的なおまかせを目指していた。

しかし6月1日から、新鮮な季節のシーフードを軸にしながらも、より親しみやすい形式に転換する。

シェフの新メニューは7席のヒノキカウンターと4席のプライベートダイニングスペースで195ドルで提供され、季節の前菜で始まり、すし11貫、味噌汁、玉子が続く。

シャンパンやブルゴーニュワイン、日本酒といった豊富なコレクションとペアリングできる。

Tsumo(複数店舗)(13品 58ドル)

ワン氏の店舗は質が良くて価格が手頃なすし店として地元で注目を集めている。

2023年にキップス・ベイに一号店を、昨年12月にはアッパーウエストサイドに2号店をオープン。

茶屋をモチーフにしたデザインで、緑の大理石模様のカウンターと編み竹の壁が特徴的だ。

各店舗には20席のカウンターが2つあり、顧客は75分で食事を終える必要がある。

シェフのレオ・リン氏が両店舗を統括し、 日本から空輸された鮮魚類を中心にディナーのほか、ランチでもおまかせ(11品で48ドル)を提供している。

どちらも全て握りで構成され、最後は巻物。

参照元:Yahoo!ニュース