トランプ関税、米国民の暮らしも圧迫 ウォルマート値上げへ「すべてのコスト増を吸収できない」

トランプ政権が導入した関税措置が、市民生活にも影響を及ぼし始めている。
物価統計などではインフレ(物価上昇)の勢いは加速していないが、消費者や企業の間ではコスト増への懸念が強まっている。
米小売り大手ウォルマートは15日、今月下旬から商品の値上げに踏み切る方針を示した。
ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は電話記者会見で「関税の規模を考えると、すべてのコスト増を吸収することはできない」と説明した。
別の経営幹部は米CNBCのインタビューで、関税発動前に仕入れた在庫が尽きるため、5月末頃から値上げが始まり、6月にはさらに拡大するとの見通しを明らかにした。
トランプ関税により、インフレの再燃や個人消費の落ち込み、企業収益の悪化が進む恐れが指摘されている。
米労働省によると、4月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は前月より鈍化したが、日用品や資材の値上がりを実感する声も出ている。
ワシントンのホームセンターを訪れた配管工マリオ・トーマスさん(63)は「収入は増えていないのに、あらゆるものが値上がりしている」と嘆く。
今後の値上がりに備え、水道管の部品を30個まとめ買いした。
ワシントンの土産物の露店で売られている、トランプ大統領のスローガン「米国を再び偉大に」が書かれた帽子の多くは中国製だ。
ある業者は「仕入れ価格が2倍以上になると通告された」と明かし、露天商のブラヒム・イドサッシさん(53)は「関税の低い国に仕入れ先を変えたいが、すぐには難しい」とこぼした。
影響は中国製品以外にも及ぶ。
米ニュージャージー州のクラフトビール会社「イカロス・ブリューイング」のマネジャー、ケビン・カーティスさんは「関税の影響が続けば、値上げせざるを得ない。痛手を負うのは中小企業だ」と語る。
トランプ政権がアルミニウムに関税を課した影響で、ビールに使うアルミ缶の価格はすでに5%上昇した。醸造に使うタンクの多くも中国製のため、今後は調達が難しくなる恐れもあるという。
米国のトランプ大統領は17日、関税の影響で値上げの方針を表明した米小売り大手ウォルマートを批判した。
自身のSNSに「値上げの理由を関税のせいにすべきではない」と投稿し、撤回を求めた。
ウォルマートは商品の3分の1を、中国やメキシコ、ベトナムなどから輸入している。
とりわけ電子機器やおもちゃは中国製の割合が大きく、4月以降の関税発動で仕入れ価格が上昇している。
中南米産のバナナやアボカドなども値上げする可能性があるという。
トランプ氏は「ウォルマートは昨年、予想よりはるかに多く稼いだ。関税の影響を顧客に転嫁すべきではない」とも非難した。
参照元:Yahoo!ニュース