年金改革、与野党本格攻防へ 消費税・企業献金も論点 参院選へ論戦に熱

年金をイメージした画像

国会では週明けから、年金改革を巡る与野党の論戦が本格化する。

提出がずれ込んでいた年金制度改革関連法案は20日に衆院で審議入り。

野党各党は集中審議や党首討論で低年金対策の「不備」を石破茂首相らにただす。

残り会期が1カ月あまりとなる中、夏の参院選をにらみ、物価高対策や「政治とカネ」を巡る議論も熱を帯びそうだ。

「法案の早期提出を重視し、基礎年金の底上げ措置は規定していない」。

福岡資麿厚生労働相は16日の記者会見で、基礎年金(国民年金)の底上げ策は2029年以降に先送りしたと説明した。

底上げ策はもともと「就職氷河期世代」支援を視野に入れた法案の目玉だ。

しかし、厚生年金の積立金を活用し、国庫負担が生じ得ることに自民党から懸念が強まり、提出前に削除された。

野党各党は「あんこの入っていないあんパンだ」(立憲民主党の野田佳彦代表)と批判を強めている。

野田氏は17日の金沢市の講演で、「あんこを入れる修正」を求め、20日に修正案を提出する方針を表明した。

19日の参院予算委員会の集中審議、21日の党首討論で、首相に法案修正を迫る考えだ。

法案の会期内成立には「月内の衆院通過が必要」(参院自民幹部)とされ、修正協議で迅速に合意形成を図れるかが焦点となる。

底上げ策の先送りには他の野党もこぞって矛先を向ける。

日本維新の会の前原誠司共同代表は16日の会見で「(29年以降では)間に合わない」と危機感を強調。

国民民主党の玉木雄一郎代表は17日に横浜市で「党独自の年金制度改革案を提出するよう指示した」と語った。

ただ、底上げ策の復活には財源が必要。

野党は「今後議論したい」(前原氏)などと明確にしておらず、財源論も問われそうだ。

参院選の争点に浮上した物価高対策を巡っても激しい論戦が交わされる見通しだ。

消費税減税で足並みをそろえる野党各党に対し、首相は「次の世代に責任を持つべきだ」と批判し、自民は「責任政党」だとアピールしている。

立民は16日、参院選公約に掲げる時限的な食料品の消費税率ゼロの財源として、外国為替資金特別会計の剰余金などを活用すると発表した。

週明け以降の審議で首相に物価高対策への考えをただし、「石破政権は無策だ」(辻元清美代表代行)と訴えたい考えだ。

「政治とカネ」の議論の行方も焦点となる。

企業・団体献金見直しを巡っては、「禁止」を掲げる立民や維新が15日、こう着状態の打開に向け、「規制強化」を主張する公明、国民民主両党に法案提出を要求。

自民派閥裏金事件を巡る旧安倍派元幹部の参考人招致に向けても与野党の駆け引きが続く。

維新は19日、立民の選択的夫婦別姓制度導入法案への対案として、旧姓使用に法的効力を認める法案を衆院に提出する。

自民が独自法案の取りまとめを見送る方針を固める中、終盤国会での議論活発化につながるかも注目される。

参照元:Yahoo!ニュース