弁護士運営サイトで偽広告か 損害金回収サービス、利用ないのに無断で写真やコメント掲載

弁護士事務所の写真

大阪弁護士会の弁護士が運営責任者と明示されたサイトで、店の予約キャンセルに関する損害金回収サービスについて、実際は利用していないのに利用したとする人の写真やコメントが無断で掲載されていたことがわかった。

サイト上で「利用者の声」として紹介された人物とみられる居酒屋とカルチャー教室の関係者が取材に対し、回収サービスの利用を否定した。

虚偽の内容を含む広告だった可能性がある。

弁護士は川口正輝氏(38)。

広告会社に弁護士名義を貸し、ロマンス詐欺の被害者から依頼された被害金の回収を行わせていた弁護士法違反(非弁提携)の疑いがあるとして、同会は昨年12月、川口弁護士の懲戒請求を公表した。

大阪地検特捜部は2月、大阪市北区にある川口弁護士の事務所などを同容疑で捜索し、捜査を続けている。

予約キャンセルに関するサイトの名称は「ドタキャンガードマン」。

川口弁護士が写真とともに運営責任者と紹介され、飲食店やホテル、カルチャー教室などを対象に、客のキャンセルに伴う損害金の回収を代行するとうたっていた。

回収の成功事例や利用者の声を掲載し、「もう泣き寝入りする必要はありません」とサービスをPRしていた。

この中で、サービスを利用した居酒屋関係者の声として、「店に安心感が生まれ、お客様にも安定したサービスを提供できるようになりました。本当に頼りになるパートナーです」との記述があり、店関係者と店内の様子が写った写真も紹介されていた。

しかし、読売新聞が調べたところ、この写真は九州の地域ニュースサイトがインターネット上で2021年7月に居酒屋の開店を取り上げた際のものと酷似していた。

取材に対し、地域ニュースの担当者は「自分が撮影した写真と同一だろう。

利用について断りはなかった」と話し、居酒屋の男性代表も「回収代行サービスを利用したことはなく、サイトの存在も知らなかった」と答えた。

また、回収代行サービスのサイトに別の「利用者」として写真が掲載された大阪府内のヨガ教室講師は「サービスは使っていない。教室のホームページに載せていた写真と同じで驚いている」と語った。

デジタルデータの解析技術を研究する上原哲太郎・立命館大教授に読売新聞が調査を依頼した結果、同教授はサイト上の写真画像と、居酒屋やヨガ教室の元画像について「同一のものとみて間違いない」と指摘した。

こうした行為は、利用者を誤認させる表示をして業務を提供する行為を禁じた不正競争防止法にふれる可能性がある。

川口弁護士の事務所関係者は「取材は受けない」としている。

川口弁護士の懲戒請求公表後、サイト上の運営責任者は、別の弁護士になり、相談を受け付ける電話番号も変更された。

サイトのレイアウトやサービスの内容はほとんど同じで、居酒屋関係者の体験談もそのまま使われていた。

後任の男性弁護士は取材に、「『無断キャンセルで困っている人がいる』と知人から声をかけられ、(サービスに)携わろうと思った」と説明。

「サイトの運営には関わっておらず、内容は知らなかった。前任者のことも聞いていない」とし、川口弁護士とは面識がないと強調した。

取材後、サイトはメンテナンス中となっている。

参照元:Yahoo!ニュース