闇バイトに応募した2人、逮捕と保護で明暗分かれる 違いはどこに

闇バイトをイメージした画像

「割のいいバイトありますよ」。

そんな甘言に誘われて2人の男性が「闇バイト」に応募した。

福岡県警は1人を逮捕する一方、もう1人は手厚く保護した。

2人の明暗を分けた行動とは。

県警によると、大川市の無職男性(25)=詐欺罪などで公判中=は、借金返済のために割のいい仕事を探していた。

インスタグラムで「高収入」と検索すると、「正規の仕事、日給2万~4万円、交通費全額支給」という投稿に目が留まった。

アカウントをフォローし、連絡を取ると「受け子の仕事。おばあちゃんから弁護士事務所などの偽名を使って金を受け取る仕事」と指示された。

正規の仕事ではなく、特殊詐欺の闇バイトだった。

それでも、無職男性は止まらなかった。

詐取したキャッシュカードを使ってATM(現金自動受払機)で引き出したり、現金を被害者から直接受け取る「受け子」をしたりしたとされる。

そこに捜査の手が伸び、2月に窃盗容疑で逮捕された。

2024年11月~25年2月に約20件の特殊詐欺に関与したとみられ、窃盗罪や詐欺罪など計3件で起訴された。

25年4月30日には詐欺容疑などで再び逮捕された。

報酬は詐取額によって3万円や8万円など異なった。

無職男性は容疑を認めているという。

一方、県内に住む20代の男性会社員は別の道を選んだ。

「割のいいバイトありますよ」「物を運ぶだけです」。

会社員は24年12月上旬、当時アルバイトをしていた福岡市の繁華街、中洲の飲食店で同僚だった男子大学生(19)からそう誘われた。

偽名で秘匿性の高い無料通信アプリ「シグナル」をダウンロードしてほしい――。

大学生の指示通りにすると、別の人物から「受け出しの説明」と記載されたメッセージが届いた。

そこには業務内容として「銀行員を装い指定の自宅にてカードを受け取り後、ATMに行って現金を引き出す」と記されていた。

さらに「就業可能エリア」は関東、札幌、仙台、愛知、神戸、福岡とされており、「就業時間 平日10時~19時 ※時間調整可能 ※週1OK」とも記載されていた。

「闇バイトだ」と思ったが、遊ぶ金がほしく、応じる意向を伝えた。

すると、言われるがままに自宅の外観や身分証を写真で送ってしまい、24年12月中旬に特殊詐欺に加担する方向で調整が進んだ。

だが、会社員は「これは逃げられない。もし断ったら家まで押しかけてくるかもしれないと恐怖に襲われた」と24年12月中旬に県警に相談。

県警が会社員を保護した。

一方、県警は4月30日、闇バイトに誘った大学生を職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで逮捕した。

県警は認否を明らかにしていない。

闇バイトに応募した2人の明暗は、自己の利益のために突き進んだものと、寸前で思いとどまったもので大きく分かれてしまった。

県警組織犯罪捜査課次席の板谷克彦警視は「『高収入』『即日即金』などのワードを使った求人情報は闇バイトの可能性がある。少しでも違和感をもったり不安を感じたりしたら加担する前に警察に相談してほしい。確実に保護するので勇気をもって言ってほしい」と注意を呼びかけている。

参照元:Yahoo!ニュース