兵庫・斎藤知事、パワハラ研修に幹部200人帯同 「巻き添え、休みたい」とブーイングも

弁護士で構成する第三者委員会から10項目に及ぶパワハラを認定された兵庫県の斎藤元彦知事は12日に再発防止に向けた研修を受講する。
告発文書でパワハラ疑惑を指摘されてから1年余り。
「指導の範疇(はんちゅう)」と抗弁してきた斎藤氏は第三者委の提言を入れ、認識を改めて謝罪した。
ただ、この間の経緯から不信感を持つ職員も少なくない。
研修は関係改善の一歩となるか。
県庁などで行われる今回の研修は、斎藤氏のみならず、副知事や部次長級の幹部計約200人が受講する大がかりなもの。
内容はパワハラ防止のほか、公益通報者保護、個人情報保護など、告発文書を巡る問題で県の対応が疑問視されたテーマを含む。
研修は4時間超で大学教授らが講師を務める。
もっとも同時受講させられる形となった県幹部からは「巻き添えのようなもの。休みたい」と斎藤氏へのブーイングの声も上がる。
8日の定例会見では「パワハラの指摘を受けているのは知事のみ」と研修の対象者について質問が飛んだが、斎藤氏は「複数の分野の講師が一堂に集まる機会。幹部で受講するやり方がいいんじゃないか」と受け流した。
告発文書は斎藤氏の言動についてこう記載。
調査にあたった第三者委は今年3月に報告書を公表し、机をたたきながらの叱責(しっせき)や夜間休日を問わないチャットでの業務指示などがパワハラに該当すると認定した。
これまでパワハラは否定しつつ、自戒を込めてコミュニケーション不足に言及してきた斎藤氏。
昨年11月の知事選で再選してからは「風通しの良い職場づくり」を前面に押し出し、県関係者によれば、幹部職員との会食の機会も設定した。
知事説明の場でも、以前のように厳しく職員を叱ることはなくなったという。
ただ会食の出席者によれば、和やかな雰囲気とはいえなかったようだ。
「知事も発言に相当警戒しているようで、何のための懇親会か分からなかった」と明かす。
再選後の斎藤氏を巡って、県庁内部を大きく揺るがしたのが「わいせつ文書」発言だった。
3月の会見で、告発文書を作った元県民局長の男性=昨年7月に死亡=が公用パソコンで「わいせつ文書を作成していた」と唐突に明かし、物議を醸した。
県政の混乱収束に動いていた複数の幹部が「火に油を注ぐのか」と周囲に憤りを隠さなかったという。
一方で、普段の職務で知事との接点が少ない若手職員からは、斎藤氏を支持する声も一定聞こえてくる。
パワハラのイメージとは対照的に、斎藤氏はかねてから「ワークライフバランス」の重要性を強調。
過去に新入職員の入庁式で「さっさと仕事を終わらせて早く家に帰ったり、プライベートを充実させたりしていきましょう」と訓示したこともあるほどだ。
第三者委の提言を受けて、パワハラ行為を認めて謝罪した斎藤氏。
職員がパワハラをした場合は処分対象となるが、斎藤氏は自身への処分を否定しており、「研修をしっかり受けることが大事。職責を果たし、風通しの良い職場づくりの取り組みを進めることが、私の責任の果たし方だ」と強調した。
参照元:Yahoo!ニュース