米関税交渉で為替議論せず、台湾総統が異例の火消し 台湾ドル3年ぶり高値

台湾の頼清徳総統は5日、為替政策を巡る偽情報を拡散しないよう呼びかけた。
トランプ米政権との関税交渉で、台湾ドル上昇を容認するよう要請されたとの憶測から台湾ドルが先週2日、5日と急伸。
中央銀行、通商交渉部に加え、総統が異例の「火消し」対応を取った。
台湾中央銀行と通商交渉部は、先週ワシントンで行われた関税交渉で為替は議題になっていないと表明した。
頼清徳総統は動画メッセージで、台湾の対米貿易黒字は、台湾が得意とする半導体などのハイテク製品の需要が急増しているためで、台湾が米政府から為替操作国に判定されたことは一度もないと説明。
「米国の対台湾貿易赤字の原因は為替レートと無関係なため、当然、米台間の交渉で為替レートの話が出ることはない」とし「悪意のある人々には、意図的に偽の情報を流すことをやめてもらいたい」と述べた。
台湾経済は好調であり、台湾市民は自信を持つべきだとも述べた。
台湾は3日、米国との「実質的な」第1回関税協議を終了したと発表し、率直で友好的な雰囲気だったと述べた。
台湾中銀は2日、米国は台湾ドルの上昇を要求しておらず、通貨の安定維持を継続すると表明。
5日、台湾ドルが約3年ぶり高値を付けると急遽、記者会見を設定し、楊金龍中銀総裁が、米国との為替を巡る協議を改めて否定した。
「もしこれ(為替)が議題になるなら、われわれが(協議に)出席していただろう」と述べ、「過去2日間の異常な状況がここで終わることを願っている」と市場に冷静になるよう呼びかけた。
総裁は、台湾は米国に為替操作しないと伝えているが、一部の大規模な投機によって台湾ドルが過度に変動しており、中銀はここ数日、市場の安定維持へ介入していると明らかにした。
参照元:REUTERS(ロイター)