ハーバード大、抗議デモ契機にユダヤ系とイスラム系双方の学生に孤立感

米ハーバード大学では、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの軍事行動に対する抗議デモが昨年活発化したことを経て、ユダヤ人学生とイスラム系の学生の双方ともに孤立や、身の危険を感じるようになっている実態が29日の報告書で明らかになった。
この報告書は、トランプ大統領就任の1年前に大学が反ユダヤ主義と反イスラム・アラブ・パレスチナ主義に対応するために立ち上げた2つの作業部会が共同で発表。
学生や教授陣、職員らを対象にオンライン形式で昨年調査し、2295件の回答を得ている。
それによると、イスラム系学生の47%とユダヤ人学生の15%は、大学構内で身体的に安全だと感じていないと述べ、こうした回答が全体の6%にとどまったキリスト教徒や無宗教という学生との差が目立った。
また多くのユダヤ人学生とイスラム系学生は、イスラエルないしシオニズムへの支持などを理由にいじめや仲間はずれの仕打ちを受けていると答えた。
パレスチナを支援しイスラエルに抗議するデモに参加した少数のユダヤ人学生は、同じユダヤ人学生から避けられていると感じていると明かした。
一方アラブ系の学生は、パレスチナとの連帯を示すスカーフを身につけていると「テロリスト」「子ども殺し」などと罵声を浴びたと報告されている。
こうした中で2つの作業部会は、大学側が入学制度や科目構成、オリエンテーションなどを見直すと同時に、イスラエルとパレスチナの問題や両者の対立について学生にもっと多く教えるよう提言した。
ガーバー学長は報告書に寄せた書簡で、さまざまな出自の人々が「生産的で市民的な対話」をどのように進めていくかを学生たちに教育する機会を増やして「多様性の観点」を持つことを促進していくと述べた。
参照元:REUTERS(ロイター)