地震の時、浴室は安全なの? 専門家に聞くと意外な答えが… 入浴中に用意する「3K」とは?

「地震の時、風呂場にいたら安全と聞いたことがあります。本当でしょうか?」。
菊池市の自営業の女性(46)から熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に疑問が寄せられた。
今年1月に発生した震度4の揺れでも風呂にいて気づかなかったという。
浴室は揺れにくく、安全な場所なのか-。
専門家に聞いた。
宮崎を震源とする最大震度5弱の地震が発生した1月13日午後9時20分ごろ、女性は自宅1階の浴室(広さ2畳)で、湯船につかり、シャワーを浴びた。
風呂から上がり、スマートフォンを見て、初めて地震の発生に気付いたという。
女性は「山鹿市の知人は『熊本地震以来の揺れ』と話していた。自分が地震に気づかなかったことに驚いた」と振り返る。
本当に浴室は揺れを感じにくい場所なのか。
崇城大工学部の東康二教授ら教員3人は、条件によっては「震度4の揺れを気づかない可能性はある」とみる。
条件とは①一戸建ての1階の風呂②広さ2畳程度で周囲に耐力壁のような強い壁が設置されている-場合だ。
さらに東教授らは「浴槽内のお湯は上下の温度差で常に対流が起きている。お風呂に漬かっている場合は体も動いているので、揺れに気付きにくい」と説明する。
ユニットバスを製造するLIXIL(東京)の開発担当者も、揺れを感じない可能性を認める。
「ユニットバスが建物自体から独立した構造体である場合、地震時の揺れ方が建物と異なるから」と説明する。
熊本県警警備2課によると、2016年の熊本地震直後に亡くなった50人のうち、「把握している限り、風呂場で犠牲になったケースはない」と言う。
それなら風呂場は地震時の避難場所に適しているのだろうか。
東教授らは「危険物が多く安全とは言えない」と断言する。
浴室には照明や鏡、カミソリなど落下の恐れがあるものが多い上、床が滑りやすく避難路の確保にも問題があるという。
では実際に入浴中に地震が起きた場合、どう行動すべきだろうか。
防災士の柳原志保さん(52)=和水町=は「浴室内では服を着ていない。まずはその場に座って洗面器や浴槽のフタで頭や体を守る。揺れがおさまった後、服を着て避難する」とアドバイスする。
入浴中の被災への備えとして、着替え、連絡手段やライトとして活用できる携帯電話、ガラス片から足を守る靴(履物)の「3K」を挙げる。
「裸だと不安になるが、慌てるのは危険。落ち着いて行動して」と呼びかける。
それにしても「浴室は安全」は誤った情報だったのか。
東教授ら3人は「台風や竜巻の時は比較的安全といわれている」と話す。
「水がない状態の浴槽内で身を低くすれば、四方を壁で囲まれた状態になる。強風で割れて飛散するガラス片などから身を守ることができる」と教えてくれた。
参照元:Yahoo!ニュース