「酷道」暗峠の里、SNSで再び脚光 変化に富んだ景色、運転には注意を

奈良県生駒市と大阪府東大阪市の境界にある国道308号の暗峠は、国道でありながら登山道のような急坂を持ち「酷道」として知られる。
主要街道だった名残を石畳などに残し、今も民家が軒を連ねる。
峠近くから眺める夜景や急坂の景色が交流サイト(SNS)で再発見され、訪れる人も増えつつある。
3月中旬、東大阪市の枚岡郵便局の50代男性配達員が電動バイクでバランスを取りながら慎重に峠を下っていた。
転倒や脱輪の危険性があるため、峠には経験年数の長い4人ほどが交代で配達をしている。
階段のある歩道でしか行けない配達先には、片道15分かけて向かうことも。
それでも「峠の四季の自然に癒やされる。暮らしを支えている実感があり、やりがいもある」と語った。
標高455メートルの峠は、かつて大阪市と奈良市を結ぶ最短経路だった「暗越奈良街道」の一部で、江戸時代には伊勢への参詣道としても栄えた。
国道に指定されたのは1970年。
大阪府八尾土木事務所によると、道路脇の側溝には最大31%(100メートルで31メートル登る)の勾配がある。
道路も同程度かそれ以上とみられ、現在の道路新設基準の12%を大きく上回る。
今春には20~30代の東大阪市の飲食店主らが共同で、高齢の店主が亡くなり昨年休業した「峠の茶屋すえひろ」を復活させた。
店内の壁には手書きの峠周辺の地図が描かれ、暖かみのある電球色の照明がともる。
「大都市の近くにこんな自然豊かな場所があると、もっと多くの人に知ってほしい」とメンバーの田中くるみさん(32)。
壁の地図には、登山客らのお気に入りの場所を書き込んでいく。おすすめを紹介し合う掲示板のようにしたいという。
全国の酷道を取材しているライター鹿取茂雄さんは「4キロほどの短い区間で住宅地、棚田、石畳と変化に富んだ景色が楽しめるのも暗峠の魅力だ。狭くて急な道なので運転は緊張するが、一息つける人里もある。末永く残ってほしい」と語った。
参照元:Yahoo!ニュース