ゴールデンウイーク後の「気象病」にご用心! 予防のポイントは

「荒天が近づくと頭痛がひどくなる」「雨の日は膝が痛む」
気象の変化によって引き起こされるこうした体調不良を「気象病(天気病)」という。
東京都の「せたがや内科・神経内科クリニック」によると、新規患者数は例年、ゴールデンウイーク(GW)明け以降にピークを迎える。
最近は、若い患者も増えているという。
久手堅(くでけん)司院長は「気象病を予防するには、連休中の過ごし方がポイントになる」と指摘する。
クリニックは2016年に気象病の専門外来を開設。
7000人を超える患者を診てきた。
気象外来の新規患者は例年、寒暖差が激しい春先から増え始め、5~6月は100人を超えるという。
ハイシーズンはGWが明けてから梅雨が終わる7月半ばにかけて。
気温や湿度が高くなり、酷暑やゲリラ豪雨といった異常気象、気圧の乱高下も起きやすいからだ。
気象病は正式な病名ではないが、気候の変化が招くさまざまな不調の総称として用いられている。
久手堅さんによると、患者の8割が訴える症状は「頭痛」。
次いで7割が「倦怠(けんたい)感」だという。
他にも、肩や首のこり、めまい、体の痛み、気分の浮き沈み、どうきなど症状は多岐にわたる。
そもそも、気象病はなぜ起こるのか。
気圧の変化は、耳の奥にある「内耳」という場所で感知しているとされ、自律神経に影響が及ぶ。
自律神経は脳内から全身に信号を送り、体の機能を調節する役割をもつ。
これが適切に働かないと、体の不調につながるというわけだ。
気象病の認知度は高まっているが、今も「気のせい」と言われたり、原因が分からなかったりして、困り果てた結果、クリニックにたどり着く人が多いという。
まずは自身の不調について、気象病に該当するかどうか知る必要がある、と久手堅さんは強調する。
久手堅さんが監修したセルフチェックリストのうち、①天候が変わる時に体やメンタルの不調がある②雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測ができる――のどちらか一つでも当てはまれば、ほぼ気象病と認定できるという。
気象病の治療では、体内の水分代謝を改善する漢方薬の処方、ストレスへの対処や生活習慣の改善に加え、簡単にできる体のメンテナンスといった「セルフケア」の指導などを行う。
GWのような連休期間は、外出頻度が増えたり、生活リズムも乱れたりして、疲れがたまりやすい。
体が弱っていたり、免疫力が落ちたりすると、気象の影響を受けやすくなる。
久手堅さんは「連休中こそ、十分な睡眠を取り、規則正しく生活する必要がある」とよびかける。
「スッキリしないからといってカフェインを多量に摂取してしまうと、交感神経を刺激してしまう恐れがあるので、逆効果です」
日常生活で実践できるメンテナンス方法を挙げてもらった。
例えば――。
▽耳たぶの少し上を水平方向に5~10秒かけて引っ張り、離す。これを数回繰り返す
▽耳たぶの後ろの骨のへこみを指で斜め上に押し、30秒保つ
▽首を痛くない角度まで曲げる、回す
◇スマホやパソコン要注意
また、デジタル機器の利用にも注意する必要がある。
うつむいた姿勢を続け、首や肩に負担がかかることで、自律神経が乱れるからだ。
久手堅さんは「気象病患者が若年化しつつある」と懸念する。
若者世代は子どものころから日常的にデジタル機器を使う生活が定着している。
特にコロナ禍以降、タブレット端末を使った学習機会も増えていることが背景にあるようだ。
デジタル機器を使うときは、こまめに休憩をとり、首や肩を回したり伸ばしたりする癖を付けておきたい。
◇早めの受診を
気象病は命に関わるほどの症状でなくても、生活の質に大きく影響する。
久手堅さんは、原因不明の体調不良を放置したり、過度に我慢したりせず、早めに対処することが大切だと呼びかける。
「慢性化してくると、ちょっとした変化で体調を崩しやすくなります。こじらせないために早めの受診を心がけてほしいですね。生活習慣を見直すだけでも大きく改善しますので、どうか諦めないでください」
参照元:Yahoo!ニュース