教皇フランシスコの後継候補、番狂わせ多く予想は困難

ローマ教皇庁を撮影した画像

21日に死去したローマ教皇フランシスコの後継者の予想はあまりにも難しい。

イタリアには「教皇としてコンクラーベ(教皇選挙)に臨んだ者は枢機卿のまま出てくる」という格言がある。

それだけ番狂わせが多いということだ。

しかしその困難さを承知した上で後継者に浮上している枢機卿を列挙する。

・ジャンマルク・アヴリーヌ枢機卿(仏マルセイユ教区大司教、66)
1960年代にカトリック教会の改革に取り組んだ教皇ヨハネ23世に容貌が似ており、国内のカトリック界の一角では「ヨハネ24世」として知られる。庶民的かつ気さくな人柄で、移民問題やイスラム教との関係などの点で教皇フランシスコに考え方が近い。教皇に選ばれれば14世紀以降で初めてフランス人としてカトリック教会の頂点に立つことになる。

・ペテル・エルデ枢機卿(ハンガリー、72)
保守派陣営に属しながらフランシスコ教皇の進歩的な陣営ともつながりがあり、選出されれば妥協の結果と受け止められるのが確実。すでに2013年の前回の教皇選挙でも候補となった。欧州やアフリカの教会ネットワークを握るとともに、世俗化の進んだ先進諸国におけるカトリック信仰の再活性化活動における先駆者と目されている。イタリア語が流ちょうで、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語も話す。

・マリオ・グレック枢機卿(シノドス事務局長、68)
地中海に浮かぶマルタ島の出身で、教皇フランシスコによってバチカンの要職、シノドス(世界代表司教会議)事務局長に抜擢された。当初は保守派と目されていたが、この数年はフランス教会改革の騎手となった。

・フアン・ホセ・オメラ枢機卿(バルセロナ教区大司教、79)
教皇フランシスコに似て気さくな人物。1970年代にスペインの教区で司祭を務めた後、コンゴ民主共和国(旧ザイール)で1年間布教活動を行った。聖職者による児童への性的虐待についてたびたび謝罪しているが、虐待の件数自体はそれほど多くないとしている。

・ピエトロ・パロリン枢機卿(バチカン国務長官、イタリア、70)
進歩派と保守派の双方にとって妥協的な候補者と見られている。長年にわたって外交に携わり、2013年からバチカン国務長官を務める。バチカンの中国、ベトナムとの和解を成し遂げる上で主要な役割も担った。

・ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(フィリピン、67)
社会正義を重視する姿勢から「アジアのフランシス」とも呼ばれる。教皇に選出されればアジア出身者として初めてとなる。1982年に叙階して司祭となり、数十年にわたる司牧経験を持つ。その後、司教、大司教となり運営面で経験を積んだ。

・ジョゼフ・トビン枢機卿(米ニュージャージー州ニューアーク大司教、72)
米国人が教皇になる可能性は低いとみられるが、もしそのようなことが起きるならトビン枢機卿が選出される場合だろう。デトロイト出身。世界各地で過ごし、イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語を操り、米全土のカトリック教会のトップの職にある。

・ピーター・タークソン枢機卿(ガーナ、76)
サハラ以南のアフリカ出身者として初の教皇候補。長いことガーナで司牧活動を行い、バチカンでも実務経験を積んでおり、コミュニケーション能力は高い。

・マッテオ・ズッピ枢機卿(イタリア・ボローニャ大司教、69)
選出されれば1978年以来初のイタリア人教皇となる。ブエノスアイレス時代のフランシスコ教皇と同様に「ストリート・プリースト(街の司祭)」として知られる。移民や貧しい人々への支援に力を入れ、儀式や形式にはほとんど関心を持たない。ボローニャでは公用車ではなく自転車を使うこともある。

参照元:REUTERS(ロイター)