一発撮り お米食べ切る動画人気 値上がり背景に「ありがたみ考え直すきっかけに」

「一発撮りで食べ切る。今というお米と」。
そんなキャッチコピーを掲げ、福井市で映像制作会社を経営する男性2人が開設したユーチューブチャンネル「THE F1RST RICE(ザ ファースト ライス)」が人気を集めている。
出演者が茶わん一杯の白米を、好みのおかずと一緒に平らげ、満足げな表情を見せる動画で、コメの価格高騰が続く中、2人は「お米一粒のありがたみを考え直すきっかけになれば」と期待する。
スタンドマイクの前に立ち、緊張した面持ちでヘッドホンを装着し、「ふぅ……」と深呼吸をする出演者。
動画の冒頭は、様々なアーティストが一発撮りで歌いきる人気チャンネル「THE FIRST TAKE」を 彷彿ほうふつ とさせる。
しかし、その後出演者が手に取るのは、県産ブランド米「いちほまれ」が入った茶わんと箸だ。
明太子、生卵としょうゆなど、本人お気に入りの「ご飯のお供」と食べる様子を、咀嚼音などとともに楽しむ。
ごくシンプルな動画だが、これまでに投稿された計70本の動画(17日時点)の累計再生回数は45万回、チャンネル登録者数は1万人を超える。
出演者は多彩でアイドル、ユーチューバーから県職員、はたまたチワワまで登場。
コメント欄には「最高のチャンネル見つけた」「たくあんとご飯食べたくなった」などと並び、やみつきになる視聴者は少なくないようだ。
チャンネルを運営する男性2人は、写真撮影や動画制作といった本業の傍ら、昨年2月、チャンネルを開設した。
「いちばん身近なご飯を食べるだけ。でも、集中してご飯を食べることって、案外ない」(動画撮影担当の男性)との思いつきが発端となった。
THE FIRST TAKEをもじったチャンネル名だが、「本家」をオマージュし、動画やサムネイル(要約画像)用写真の光の加減、文字のグラフィックも入念に調整し、クオリティーを近づけた。
月2~4本のペースで動画を投稿し始めると、「センスありすぎ」「思いついた人天才」など、すぐに反響があった。
特に、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」では、多いもので420万回再生された。
2人は「思いの外バズってびっくり」とするが、視聴者に届けたいメッセージはいたって真面目だ。
農林水産省によると、国内の食品ロスは年間約472万トン(2022年度推計値)。
国民1人当たりおにぎり1個分のご飯が毎日捨てられていると換算されている。
写真撮影担当の男性は「お米が食べられるありがたさと食べ物を残さないということを、おいしそうに食べきる出演者の姿から感じてほしい」と語る。
特に最近は、価格高騰に伴い、食生活に欠かせないコメへの関心が高まっている。
2人は「お米が簡単に手に入らなくなってから気づくのでは遅い。日頃から食への意識を高く持って、動画を楽しんで」と話す。
参照元:Yahoo!ニュース