ふるさと納税でシャインマスカット産地偽装、市の現地調査は発覚3か月後 総務省ルール違反か

長野県須坂市がふるさと納税の返礼品として寄付者に贈ったシャインマスカットの産地が偽装された問題で、市が産地偽装を行った業者を訪ねて調査したのは、疑惑の判明から3か月後だったことがわかった。
疑惑判明後の速やかな現地調査を求める総務省のルールに違反する可能性があり、市も対応の遅れを認めた。
同省はふるさと納税の対象自治体の指定取り消しを含めた対応を検討する。
同省などによると、市は昨年12月中旬、和歌山県の「日本グルメ市場」から、返礼品のシャインマスカットに他県産の混在があったと報告を受けた。
同省や農林水産省は3月18日、一連の問題を公表。
同月21日には村上総務相が閣議後記者会見で、産地偽装があったという認識を示したが、市が同社を現地調査したのは同月28~29日だった。
現地調査の遅れについて、三木正夫市長は読売新聞の取材に対し、「農水省が同社を調査していたため、その結果を踏まえて対応を検討するつもりだった」と釈明した上で、「調査の遅れは市の落ち度で、反省している」と述べた。
ふるさと納税の返礼品の産地偽装が相次いで発覚したことを受け、総務省は昨年10月、業者に偽装の疑いが判明した場合、速やかな現地調査を自治体に求めるなどルールを厳格化していた。
同省は21日までに市に地方税法に基づく報告を求めている。
同省は報告を踏まえ今後の対応を検討する。
須坂市のふるさと納税の返礼品であるシャインマスカットの産地が偽装された問題の発覚から18日で1か月となった。
ふるさと納税の受け付けは全面停止されていることから、生産者らは大幅な収入減が見込まれており、今後を不安視する声が上がっている。
「どんな補償や支援を行うのか」「私たちは真っ暗闇に放り出されてしまった」。
16日、同市内で開かれた説明会。参加した生産者らから怒りと不安の声が相次ぎ、三木正夫市長は謝罪と説明に追われた。
「収入の半分以上がふるさと納税関係。経営が苦しくなる」。
同市でシャインマスカットの栽培を手掛ける田子農園の田子裕香里さんは厳しい表情を浮かべる。
田子農園は2019年に返礼品事業者に登録。
こつこつリピーターを増やすなどして、注文数を伸ばし、当初全体の2割弱だったふるさと納税の収入は、最大で約7割を占めるようになった。
市が国からふるさと納税の対象自治体としての指定を取り消される事態を想定し、「早めに新たな販路を探さなければ」と気丈に振る舞う一方、「かなりの痛手だ」と肩を落とした。
市は昨年12月、産地偽装を行った業者から他県産の混在があったとの報告を受けたが、この業者の返礼品の募集を翌年2月まで停止しなかった。
こうした市の対応について、田子さんは「甘かったと思う。指定取り消しなど国の厳しい判断につながるのではないか」と苦言を呈した。
参照元:Yahoo!ニュース