米連邦地裁、トランプ政権が誤って中米に強制送還した男性を帰国させるよう命令

トランプ米政権が3月に中米エルサルバドルに誤って強制送還した同国出身で米東部メリーランド州在住の男性、キルマー・アブレゴガルシアさんについて同州の連邦地裁は4日、7日までに米国に帰国させるようトランプ政権に命じた。
アブレゴガルシアさんは国外退去を差し止める保護処分を受けていたものの、トランプ政権は3月にマフィアとの関係や移民法違反の疑いがある移民らを3機の航空機でエルサルバドルへ強制送還した際に一緒に追放していた。
米国はアブレゴガルシアさんを誤った行政手続きによって強制送還したことを認めているものの、米国に連れ戻す法的権限はないと主張している。
アブレゴガルシアさんの弁護団に4日加わったクイン・エマニュエル法律事務所のアンドリュー・ロスマン弁護士は「政府は彼(アブレゴガルシアさん)をそこへ送ったのだから、連れ戻すことができる」と反論した。
司法省は地裁の命令を不服とし、米南部バージニア州リッチモンドにある第4巡回区控訴裁判所に控訴する予定だ。
司法省は5日未明の裁判所提出書類で、連邦地裁のポーラ・キシニス判事の命令について「弁護の余地はない」と主張し、控訴裁判所に判決を即時停止するように要求した。
トランプ政権は、アブレゴガルシアさんが「米国にいる法的権利も、根拠も全くない」とし、「(ガルシアさんの米国への)帰国が公共の利益にかなわないのは明白だ」などと言い張っている。
ホワイトハウスのレビット報道官は、アブレゴガルシアさんがエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領に連絡を取るべきだとして「というのも、判事がエルサルバドルの管轄権や権限を持っているのかは分からないからだ」とのコメントを出した。
参照元∶REUTERS(ロイター)