高校教科書、生成AIの記述急増 1点から48点に リテラシー育成意識

文部科学省は25日、2026年度から主に高校1年生が使う教科書を対象として24年度に実施した検定の結果を発表した。
13教科で計253点の申請があり、全て合格した。
20年度の前回検定で英語の1点のみに記載された生成AI(人工知能)は、急速な発展を受けて8教科48点に急増。
仕組みや利便性だけでなく、偽りや誤った情報の拡散といったリスクに関する説明も多く、リテラシーの育成を意識した内容となった。
現行の学習指導要領に基づく検定としては2回目で、マイナーチェンジにとどめた社が多かった。
教科書会社は指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」を意識し、話し合いや発表につなげる構成を維持した。
探究活動を重視し、災害に着目したフィールドワークや感染症に関するグループ発表なども取り上げられた。
生成AIについては「情報Ⅰ」で申請された13点のうち11点で記載があり、うち7点で生成AIの注意点や課題も取り上げた。
掲載科目は文理を問わず、第一学習社は「現代の国語」に掲載した情報収集の仕方に関するコラムで「生成AIは発展途上の技術」「生成された情報の利用は(中略)慎重に行うべきである」とした。
日本文教出版は「美術Ⅰ」で「人工知能はアーティストになれるのか?」と問いかけ、17世紀の画家・レンブラントが描いた肖像画と、AIがレンブラントの作品を読み込んで生成した作品を並べた。
一方、「現代の国語」には小説の掲載が相次いだ。
指導要領は「現代の国語」での小説の取り扱いを想定していないが、各社は評論文を読む上での参考文献などとして掲載。
掲載した教科書数は前回検定時の2社2点から6社9点に増えた。
全ての高校で共通して教える11教科では6470件の検定意見がついた。
意見数は前回より2955件(31.4%)減った。
「公共」と「政治・経済」では、北方領土や竹島、尖閣諸島を「固有の領土」とすることを定めた指導要領を踏まえ、教科書内で固有の領土と取り扱われていないとして検定意見が3件ついた。
いずれも教科書会社が修正して合格した。
教科書検定は、高校1年▽高校2年▽高校3年・小学校▽中学校――の4グループに分かれ、1グループずつ実施される。
有識者による審議は非公開。
今回合格した教科書のうちどれを使うかは、25年度に都道府県教育委員会などが決める。
参照元:Yahoo!ニュース