「消えたプッチンプリン」他人事でない 専門家が警鐘 システム更新「2025年の崖」
システム障害によるプッチンプリンの出荷停止が、企業の業績に大きな影響を与えた。
スーパーマーケット セルシオ和田町店
食品担当 久保田浩二さん「グリコのビッグプッチンプリンですね。欠品中になっております。この場所に入っていたが、空になっている状況ですね」
容器の底にあるツマミを折ると、プリンがツルン。
発売から50年を超える江崎グリコのロングセラー商品「プッチンプリン」が商品棚から消えてから1カ月近くが経ちました。
客
「“プリンならプッチンプリン”みたいな感じがする。寂しいです」
客
「ちょっと悲しいです。子どものためにあってほしい」
このスーパーでは、他にも10を超えるグリコの商品が消えている。
久保田さん「商品の供給がないので、店としても大きく売上にも響いてくる。他のメーカーの商品をあてがって、売り場を埋めているという状況」
こうした事態の要因は先月、基幹システムを更新した直後に発生したシステム障害。
システム上の在庫数と現実の在庫数が一致しなくなった。
何とか乗り切る方法はないだろうか。
神戸大学大学院 森井昌克名誉教授「大量に発送したりとか、いろんなものを作ったり、配送先もいろいろありますから。今は完全にコンピューターに頼っているが、それが動かないと、それに代わって人がやろうという話になると、さらに失敗をしていくという可能性が高くて。システムの復旧を待つという状況になってしまう」
経営への打撃は深刻。
江崎グリコは先週、システム障害の影響によって今年1年の売上高が当初予想の3510億円から150億円減少し、3360億円になるという見通しを示した。
最終的な儲けを示す純利益は、これまでの予想より40億円少ない110億円になる見込みで、増益予想から一転、減益。
専門家は、一連の事態の背景に「2025年の崖問題がある」と警鐘を鳴らす。
プッチンプリンが消えて、一カ月。
システムの復旧作業は思うように進まず、出荷の再開時期は決まっていない。
こうした問題は、多くの企業がシステムの更新時期を迎える来年以降に多発する可能性が指摘されていて、「2025年の崖」とも呼ばれている。
森井名誉教授「各社こういう状況が起こりえるということで、対策を取っていかないと、システムが動かないだけではなく、経営に非常に関わってくる」
経済産業省は「2025年の崖による経済損失が12兆円に上る」と試算していて、早急な対策が求められる。
参照元∶Yahoo!ニュース