39年前の女子中学生殺害、再審でも検察は有罪主張 無罪の公算大

名古屋高裁の外観を撮影した画像

福井市の市営住宅で1986年に女子中学生(当時15)が殺害された事件で、殺人罪で服役した前川彰司さん(59)の裁判をやり直す再審の初公判が6日、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)であった。

検察側は「被告人が犯人であることは間違いない」と述べ、改めて有罪を主張。

弁護側は「一日も早く前川さんの無罪を確定させなければならない」と訴え、結審した。

判決は7月18日に言い渡される。

再審は「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠を発見したとき」などに開かれる。

検察による追加の有罪立証はなく、無罪となる公算が大きい。

前川さんは捜査段階から無罪を主張し、90年の福井地裁判決は無罪とした。

だが名古屋高裁金沢支部が知人らの供述をもとに「犯人」と認めて懲役7年とし、97年に最高裁で確定。

1度目の再審請求は最終的に退けられ、2022年に2度目の請求をしていた。

昨年10月の高裁支部決定は、「血のついた前川を見た」という知人男性らの証言を検討した。

別の知人がテレビ番組の記憶から「事件当夜に血のついた前川と会った」と男性の証言を支えていたが、検察が新たに開示した証拠で、番組の放映は別の日だったことが判明。

男性が覚醒剤事件で逮捕・勾留中に減刑を期待して証言を始めた経緯も重くみて再審開始を認め、検察は不服を申し立てなかった。

12月から裁判官、検察側、弁護側が集う非公開の三者協議が3回あり、弁護団によると、検察側は有罪主張を崩さない一方、新たな立証はしない方針を示した。

さらに地裁の無罪判決に控訴した際に出した控訴趣意書の一部を撤回すると明らかにしたという。

検察は番組放映が別の日だったことを把握しながら、控訴趣意書でその事実に触れず、有罪立証を続けていた。

弁護団は今年1月に開いた記者会見で、新たな証拠を出さずに有罪主張を続けるという検察の対応について「非常に矛盾した態度だ」と批判していた。

参照元∶Yahoo!ニュース