「感謝の念がない」トランプ氏とゼレンスキー氏が激しい口論、鉱物協定署名せず 米高官、ウ支援に関する「不正調査」加速との見通し

外交をイメージした写真

ロイタートランプ米大統領は28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。

両首脳はウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、記者団の面前でロシアへの対応などを巡り厳しい言葉の応酬が相次ぎ、米当局者によるとゼレンスキー氏は合意文書に署名せず、ホワイトハウスを後にした。

世界を揺るがす紛争を解決するための重要な会議となるはずだった。

米ウクライナ首脳会談は28日、両首脳によるホワイトハウスでの怒鳴りあいになった。

トランプ米大統領「あなたは有利な立場にはいない。カードを持っていない。私たちといるからカードを持てる―」

ウクライナ ゼレンスキー大統領「われわれはカード遊びをしているのではない」

トランプ氏 「あなたたちはゲームをしている」

ゼレンスキー氏「私はとっても真剣だ」

トランプ氏「あなたたちは何百万人もの人々の命を賭けてギャンブルをしている。第3次世界大戦を賭けているのだ」

両首脳は当初、米国の支援継続と引き換えにウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だった。

ウクライナにとって西側諸国からの支援は極めて重要だが、トランプ氏はウクライナ支援に消極的な姿勢を示している。

ゼレンスキー氏「われわれは彼(プーチン氏)と何度も対話した」

28日の会談は、バンス米副大統領がロシアのプーチン大統領との外交を提案したことに、ゼレンスキー氏が疑問を呈したことで緊張が高まった。

ゼレンスキー氏「2019年、私は彼と合意に署名した」

ゼレンスキー氏は、2019年にプーチン氏と停戦協定に署名したが、3年後に攻撃を受けたと指摘。

ゼレンスキー氏「JD(バンス副大統領)、あなたがおっしゃっている外交とはどのようなものか? 何を意味しているのか?」

バンス米副大統領「私は、あなたの国の破滅を終わらせる外交について話している。(ゼレンスキー)大統領、大統領、失礼ながら、あなたが大統領執務室に来て、米国のメディアの前でこの件を訴えようとするのは失礼だと思う」

「失礼だ」という言葉がトランプ氏の怒りを引き起こしたようで、トランプ氏はゼレンスキー氏を叱責し始めた。

トランプ氏「あなたの国は大きな問題を抱えている」

ゼレンスキー氏「わかっている」

トランプ氏「あなたは勝てない。だが、我々のおかげであなたはうまくやっていける可能性がある」

ゼレンスキー氏「大統領、われわれは自国にとどまり、強くあり続ける」

「会談は本当に悪化し、口論にまで発展したと言ってもいいと思う」

ロイターのジェフ・メイソン記者は、ホワイトハウスを取材してきた16年間でこのような出来事は見たことがないと語った。

ロイター ホワイトハウス担当 ジェフ・メイソン記者「外交では通常見られないことだ。これはまた、過去数週間にわたって両首脳の間で高まってきた緊張が水面下だけでなく表面化していることを示している。トランプ氏は最近、ゼレンスキー氏を『独裁者』と呼んだが、昨日そのことについて質問されると、その発言をやや後退させた。トランプ氏は今日その言葉は使わなかったが、ウクライナ大統領に挑発されたことに不満を抱いていたのは確かで、その結果、今日予定されていた記者会見をキャンセルし、ゼレンスキー大統領はホワイトハウスを予定より早く出発した」

トランプ氏はその後ソーシャルメディアに、このやり取りはウクライナが「和平の準備ができていない」ことを示していると投稿した。

ゼレンスキー氏は鉱物資源協定に署名することなくホワイトハウスを早々に去った。

この出来事は、ロシアの侵攻に直面したウクライナを守るために西側諸国を結集したバイデン前政権からの驚くべき転換を示すものだった。

トランプ氏「もっと感謝しなくてはならない。だってあなたはカードを持っていないんだから」

トランプ氏はウクライナ戦争の終結に意欲を示しているが、具体的な方法は明らかにしていない。

今回の会談を受け米高官は今後、ウクライナ支援に関する無駄遣いや不正利用の調査が加速するだろうと述べた。

参照元∶Yahoo!ニュース