「ええじゃないか」点検作業中の従業員死亡、過去にも点検中にけが人 規則の「周知ブザー」鳴ったか不明

「富士急ハイランド」(山梨県富士吉田市)のジェットコースター「ええじゃないか」で28日、点検作業中の従業員、嘉村伊織さん(29)(富士河口湖町)が、車両とレールの間に挟まれ、死亡する事故が起きた。
県警は業務上過失致死容疑も視野に捜査していく方針。
「ええじゃないか」では2007年にも点検中にけが人が出ており、施設は「原因究明を進める」としている。
県警の発表などによると、嘉村さんはほかの作業員ら約10人とともにコースターのレール上で点検作業をしていた。
同僚が嘉村さんの悲鳴を聞き、様子を見に行ったところ、車両とレールの間に挟まれているのを発見したといい、病院搬送されたが、死亡が確認された。
嘉村さんが作業をしていたところ、ほかの従業員が誤って嘉村さんの近くにあった車両を動かしてしまったという。
「ええじゃないか」では、2007年にも点検中の事故があり、点検時に車両を動かす際は、ブザーなどを鳴らしてほかの従業員に周知することにしていたというが、施設側は「当時ブザーが鳴ったかどうかは不明」と説明している。
施設は当面の間、「ええじゃないか」の運行を休止し、原因が特定され次第、運行を再開するか判断する。
施設自体の営業は続ける。
「ええじゃないか」は06年7月から稼働を始めた。
世界一の総回転数を掲げ、全長約1.1キロのコースを最高時速126キロで走り、座席が前後に回転するなどして、施設でも目玉のアトラクションの一つだ。
この日記者会見した富士急ハイランドの松村武明社長は「心よりお悔やみ申し上げ、一刻も早く原因究明に努める」と謝罪した。
来園者からは不安の声が聞かれた。
春休みで奈良県から友人3人で訪れた女子大学生(18)は「(ええじゃないかに)今後も乗りに来たいのでしっかりと原因を調べてほしい。営業終了してしまうことになるのは悲しい」と話した。
甲府市の20歳代会社員女性は「点検中の事故とはいえ、よく遊びに来る場所なので怖い。安全のための点検なのに」と声をつまらせた。
富士急ハイランドでは、過去にも「ええじゃないか」を含めたアトラクションで事故が発生している。
2007年12月には、ええじゃないかの部品交換を行っていた男性社員が、突然動き出した車両のタイヤとレールの間に挟まれ、胸の骨を折るなどの重傷を負った。
施設側は電源を切るなど作業の手順を守らなかったことが原因としている。
12年4月には走行中のジェットコースターからボルト1本が落下し、真下を歩いていた女性の額に当たる事故も起きた。
女性は軽傷だったが、20年7月にも同様の事故が発生。
けが人はいなかった。
このほか、20~21年にはジェットコースター「ド・ドドンパ」で乗客12人が首や胸の骨を折るなど重軽傷が相次ぐ問題が発生し、その後営業を終了。
21年には客を乗せた観覧車のゴンドラが扉を開いたまま1周するトラブルも起き、施設側は安全管理体制を見直すとしていた。
参照元∶Yahoo!ニュース