富士通、ATM生産から撤退へ キャッシュレス決済の普及・銀行間の共同利用で需要減

富士通の会社の外観を撮影した写真

富士通は、現金自動預け払い機(ATM)の生産から撤退する方針を固めた。

キャッシュレス化で需要が減少しているうえ、成長分野と位置付けるAI(人工知能)や業務システムを活用した事業との相乗効果が低いと判断した。

銀行窓口で使う営業端末の生産からも撤退する。

関係者によると、富士通は昨年末以降、顧客の金融機関などに対し、5年後をめどに撤退する方針を伝え、他社製品への置き換えなどを促しているという。

全国銀行協会によると、2023年9月末時点のATM設置台数(ゆうちょ銀行、コンビニエンスストアを除く)は8万6095台で、13年(11万1198台)から約2割減った。

キャッシュレス決済の普及により、ATMの需要は減少傾向にある。

銀行側はATMの共同利用など維持費削減に向けた取り組みを進めている。

富士通は1977年にATMなどの販売を始め、金融関連システムの提供と連動してシェア(占有率)を拡大してきた。

近年は利益率が高く、市場の拡大が期待できるAIやシステムの関連事業を強化している。

一方、相乗効果が低い非中核事業は売却し、事業の選択と集中を進めてきた。

2023年以降、半導体関連メーカーの新光電気工業、空調機器メーカーの富士通ゼネラル、電池メーカーのFDKといった子会社などの売却を決めた。

ATM業界では昨年7月の新紙幣発行に伴い、機器やソフトの更新特需が発生したが、将来の需要減を見据えた生産の効率化も進む。

日立製作所子会社の日立チャネルソリューションズは23年に中国の拠点をインドに移管し、工場を増強した。

沖電気工業も、中国での生産を20年に終了し、群馬県とベトナムにある2工場に集約している。

参照元∶Yahoo!ニュース