ランチ代半額で 実質手取りアップ?企業も注目「第3の賃上げ」福利厚生 家事代行サービス導入した病院も

賃上げをイメージした写真

物価高や人手不足を受け、企業は社員の満足度向上に取り組んでいる。

そんな中、福利厚生を活用することで従業員の手取りを増やす「第3の賃上げ」が注目されている。

2月20日、名古屋商工会議所で開かれた「#第3の賃上げ 愛知アクション」発表会。

定期昇給、ベースアップに続く、第3の賃上げとして「福利厚生」を推進しようと食事補助サービスなどを提供するエデンレッドジャパンなどが開いた会見だ。

充実の福利厚生のメリットを享受している会社員の皆さんが勤めているのが名古屋市に本社を置く住宅関連の会社で社員は約220人だ。

この日、社員の皆さんがランチで訪れた牛丼チェーン店。

券売機でかざすのは会社支給のカード。

このカードには会社が食事補助として毎月一定額をチャージ。

つまり「食の福利厚生サービス」だ。

会社では社員に対し給与以外に毎月ランチ代として7000円分をチャージ。

このうち社員の負担分は半額で給与から天引きされる。

この会社の補助分は非課税所得になるのでうれしい限りだ。

(食事補助を利用する社員)「週に2回くらいのペースで1か月間フルで使う」

エデンレッドジャパンが提供する、この福利厚生サービスは全国約25万店のカフェやコンビニ、レストランなどで利用可能だ。

導入している企業は2021年に比べ7倍以上に増え、今では全国の企業約3000社で20万人が利用しているという。

多くの企業が税金のかかからない非課税枠内最大の1人あたり毎月7000円でのサービス契約を結んでいる。

(食事補助を利用する社員)「物価も上がってきていて自炊しても高い。ランチに社員と行ったり、ちょっとコーヒーを買ったり。仕事の向き合い方が変わる」

「サラリーマンなので昼に1食、外食できるだけで満足度はだいぶ変わる。めちゃめちゃ助かっている」

企業側がこうした福利厚生を充実させる背景には…。

(sumarch 鳥居儀彰 社長)「昇給をしていても一定の年収が高くなると、税金や社会保険料で取られて手取りが全然上がらない。ダイレクトに報酬・賃金が上がる効果がある」

7000円の食事補助のうち、企業側は3500円分を経費として処理ができて、もう半分の従業員が負担する3500円にも所得税はかからない。

つまり、食の福利厚生サービスでダイレクトに社員の手取りアップが実現。

これが「第3の賃上げ」と言われる理由なのだ。

(食事補助を利用する社員)「すごく採用アピールになる。学生さんの受けは良い」

会社の人事採用にも好影響を与えているようで、社長も…。

(sumarch 鳥居儀彰 社長)「福利厚生の募集要項の欄もたくさん書ける。(他社と)比較されたときには、家族も『いいね』って思ってもらえる」

一方、愛知県一宮市内の病院で導入されている福利厚生のサービスが…。

(一宮西病院 法人本部人事部 井戸日菜さん)「家事代行サービスを使っている。掃除や料理を作る家事を代行してもらう」

人事部で看護師の採用などを行う井戸さん。

この家事代行サービスの導入の旗振りをし自身も活用している。

この日、仕事が終わり帰宅すると。

(家事代行サービスのスタッフ)「ベアーズの成瀬と申します。本日はよろしくお願いします」

家事代行サービスのスタッフがテキパキと掃除、洗い物、洗濯物をたたんでいく。

(一宮西病院 法人本部人事部 井戸日菜さん)「すごく助かっている。自分が他にやりたいことがあると、それをやりながら部屋がきれいになっている、料理もできあがっているのが気持ち的に楽」

井戸さんは夫婦2人暮らし。

とても助けられていると話す。

一宮西病院では1回3時間で約1万5千円のの家事代行サービスを約15%オフの1万1000円ほどで受けられる福利厚生サービスを導入している。

4人の子育てをする薬剤師の女性は。

(一宮西病院 士野鮎美 薬剤師)「家の中が整っていると精神的にも安定する。普段できない薬の勉強や子育てにも集中できる。絶大な恩恵を得られた」

患者の状況次第では、時に激務もこなさなければならない医療従事者たちにとっては大きな手助けだ。

(一宮西病院 法人本部人事部 井戸日菜さん)「医療職は常に自己研鑽(けんさん)。入職して働きだしてからも常に勉強。看護師なら看護の勉強、薬剤師なら薬の勉強と続いていく。帰ってきた後に掃除が済んでいたり、ご飯が1週間分作られていたりすれば業務プラス勉強に集中ができる」

福利厚生の充実は働きやすさに直結していく。

この「第3の賃上げ」は今後も会社側が無視できない大事な要素となっている。

参照元∶Yahoo!ニュース