観光客マナー違反 函館の観光名所「八幡坂」困惑 車道で撮影、クラクション聞かず 敷地無断侵入、多言語看板効かず 市、SNSで自粛呼び掛け

八幡坂を撮影した写真

函館湾や青函連絡船摩周丸などが眼下に広がる函館市西部地区の観光名所「八幡坂」で外国人観光客らが車道に出て写真を撮るといったマナー違反が顕在化している。

学校など近隣施設の敷地内に許可無く立ち入るケースも散見され、地元関係者は対応に苦慮。

函館市は交流サイト(SNS)で、「事故の恐れがあり、大変危険」と呼び掛け自粛を求めている。

「プー、プー」。

今月2日の昼下がり、八幡坂の中腹で車のクラクションが響いた。

その先には車道をふさぎ、スマートフォンで記念撮影する十数人の国内外の観光客。

普段から西部地区を走るという市内タクシー会社の男性運転手(51)は「車が近づいてもよけず、クラクションを鳴らしても写真を撮り続ける人もいる」とあきれ顔で話す。

同様の課題を抱える小樽市の「船見坂」では同市が1月から警備員を配置する対策を講じた。

男性運転手は「ヒヤリとしたのは一度や二度じゃない。函館も信号機を付けるなど、市や警察が踏み込んだ対応をすべきだ」と語気を強める。

許可なく雪合戦関係者以外立入禁止の看板が掲げられている函館西高の「校門坂」。 

八幡坂に面した乳児院「さゆり園」(元町)では昨年12月と今年1月の少なくとも計2回、アジア系の親子連れが園庭に許可無く入り、雪合戦をしていたという。

同園は隣接する教会の写真を撮ろうと、敷地内に立ち入る観光客が以前から多く、10年以上前から正門に「立ち入りはご遠慮ください」と、呼び掛ける4カ国語の看板を掲げている。

ただ、園庭にまで入るなど、この1年でマナーが悪化した印象という中村勝彦施設長は「子どもを預かる施設なので、不審者対策には特に気を使うが、手の打ちようがない」と漏らす。

坂の頂上にある函館西高校(元町)でも、八幡坂につながる校地内の「校門坂」に、写真撮影のため立ち入る観光客が後を絶たない。

立ち入り禁止の多言語看板を設置しているものの、効果は薄いという。

昨年8月には、生徒が普段は立ち入れないことをPRするイベントを企画。

校門坂を1日限定で一般開放して写真撮影してもらいながら、普段は入らないよう呼び掛けた。

しかし、観光客の立ち入りは続いており、教職員が直接口頭で退去を促している。

柴崎智勝教頭は「素晴らしい景色なので、写真を撮りたい気持ちはよくわかるのですが」と話し、対応に苦心する。

函館市は今月に入り、X(旧ツイッター)や中国版のX「微博(ウェイボ)」などで、八幡坂車道での撮影について「車両の通行に支障が出るほか、人身事故の恐れがある」とし、「大変危険」と自粛を求める投稿を行った。

近隣住民からの不安や苦情の電話やメールが今年に入り増えたことを受けた対応で、混雑の状況を見ながら追加の対策も検討するという。

市観光部は「地域住民に対するマナーを守った上で、観光を楽しんでほしい」と話す。

参照元∶Yahoo!ニュース