スキー場での衝突事故で9歳女児重傷 立ち去ったスキーヤーの法的責任は?

スキー場の外観を撮影した写真

長野県佐久市のスキー場で発生した衝突事故が話題となっている。

あるスキーヤーが初級から中級のコースでスキーをしていた9歳の小学生女児に後ろから衝突し、左足のすねを骨折する重傷を負わせたのに、その場から立ち去ったからだ。

スキー場での衝突事故については、最高裁の判例により、上から滑降する者が前方を注視し、適切な速度や進路を選択して事故を回避する義務があるとされている。

もっとも、民事では「過失相殺」が認められている。

ぶつけられた側にも不注意があれば、その分だけ賠償額が差し引かれる。

速度や互いの位置、動き、技量、天候、見通し、ゲレンデの混雑具合といった事故の状況を踏まえ、過失やその程度などが具体的に判断されるわけだ。

これに対し、刑事責任には過失相殺という概念がありません。死傷の結果を踏まえ、基本的にぶつけた側が過失致死傷罪や重過失致死傷罪に問われることになる。

2021年に福井県内のスキー場で起きた事故でも、スノーボードで滑降中に8歳の小学生男児に衝突して死亡させた男性が重過失致死罪で在宅起訴され、昨年4月に禁錮2年・執行猶予3年の有罪判決を受けている。

民事の損害賠償額は7200万円だった。

今回のケースも、スキー場の各所に設置された防犯カメラ映像をたどる「リレー捜査」などにより、立ち去ったスキーヤーを特定した上で、事故の状況を踏まえ、民事・刑事の法的責任を問うことになるだろう。

参照元∶Yahoo!ニュース