転落事故多発、兆候ない時は除雪控えて 目安は「ふすま開きづらい」

雪景色を撮影した写真

県内各地で雪害での死傷事故が相次ぎ、雪下ろし中の転落が半数を占めている。

ドカ雪後は屋根の状況が気になるが、雪下ろしのプロが目安とするのが「ドアやふすまが開きづらくなった場合」。

明らかな兆候が出ていなければ転落事故のリスクを考慮し、控えることを勧める。

作業する際は命綱が重要だが、建物の構造上、設置できないケースもあり「無理して屋根の上で作業せず、軒下に近づかないなど落雪対策に注力してほしい」としている。

県防災危機管理課によると、今季の雪害事故の死傷者は20日午前10時現在、99人(死者3人、重傷64人、軽傷32人)に上る。

市町村別では米沢市の21人が最も多く、原因別では雪下ろし中の転落が最多の51人となっている。

死傷者数は少雪だった昨年同期と比べると約7.6倍に上る。

雪下ろし中の重傷事故を防ぐ装備として命綱は有効だが、建物の特徴に合わせてうまく適合させるのが難しい。

防災科学技術研究所雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所(新庄市)の田辺章洋(たかひろ)特別研究員は「屋根の形状や住宅周辺の環境により、命綱のフックを固定できないケースもある」と話す。

屋根に雪止めや専用のアンカーが設置されていない場合、作業場所の反対側にある樹木や柱に固定するのが一般的だが、隣家と密接している住宅街では難しく、電柱などの公共物に設置することはできない。

テレビアンテナや雨どいは人の体重に耐えられる強度がなく、設置してしまうとかえって事故につながりやすくなる。

「命綱の装着が難しい場合、無理に屋根に上がらないことが重要だ」。

こう指摘するのは米沢市内で除雪作業を請け負う後藤組(同市、後藤茂之社長)の本間一郎さん(73)。

雪下ろしが必要となる目安は、室内のドアやふすまが開きづらくなった時で、支障が出ていないうちは作業を控え、「落雪の危険性がある軒下には近づかないようにする対策を取る方がベスト」とアドバイスする。

どうしても雪下ろしを行う際の注意点として本間さんは、▽2人以上で作業する▽ヘルメットは必ず着用する▽地面の雪はそのままにしておく▽滑らないよう5センチほどの厚みを残して雪を下ろす▽屋根の端で作業しない―などを挙げた。

1人で作業しなければならない場合は、近隣の住民に伝えておくことが大切だとしている。

参照元∶Yahoo!ニュース