全国CPI、1月コアは+3.2%に加速 生鮮食品主導で総合2年ぶり4%台

総務省の外観を撮影した写真

総務省が21日発表した1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は前年比3.2%上昇と、伸びは前月の3.0%から加速し、2023年6月以来の大きさとなった。

コメの価格高騰が続き、生鮮を除く食料品の伸び率がさらに拡大した。

生鮮食品も21.9%上昇し、総合指数は4.0%上昇と23年1月以来の4%台となった。

市場では、春季労使交渉(春闘)で高めの賃上げ率が見込まれることも踏まえ、日銀が6月に利上げするとの予想が出ている。

コア指数の伸び率は事前予想の3.1%を上回った。

生鮮を除く食料は5.1%上昇と、伸び率は前月の4.4%を大きく上回り、6カ月連続で加速。

コメ類が70.9%上昇して1971年1月以降で最高の伸び率を更新、うるち米(コシヒカリを除く)は71.8%上昇で76年1月以来の高い伸びとなった。

昨年価格改定が相次いだチョコレートは30.8%上昇、豚肉(国産品)は6.6%上昇と引き続き高い伸び。

政府の補助金縮小でガソリンは3.9%上昇と、前月の0.7%上昇を大きく上回った。

一方で、外国パック旅行費は1.9%上昇と、前月の74.7%上昇を大幅に下回った。

総務省の算出再開で昨年1年間は高い伸びが続いたが、その影響が一巡した。

コア対象522品目のうち、上昇は398、下落は84、変わらずは40。

上昇品目は前月の390を上回った。

総合指数の押し上げにつながった生鮮食品は04年11月以来の高い伸びとなった。

キャベツが2.9倍、白菜が2.1倍に、みかんが37.0%それぞれ上昇した。

いずれも天候不順の影響が大きいが、総務省担当者は光熱費転嫁の影響も「なくはない」と述べた。

生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は2.5%上昇と、伸び率は前月から小幅に拡大し、24年3月以来の大きさとなった。

日銀はこれまで、生鮮食品の価格動向は天候要因に左右されやすく一時的だとして、政策判断に当たってはより基調的なコアコアCPIを重視してきたが、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・チーフ日本経済エコノミストは、天候不順が毎年のように続き、農業の人手不足や作付面積の縮小による供給力低下を踏まえると「『物価の基調』として生鮮野菜などの価格上昇を捉えるべきかもしれない」と話す。

「購入頻度が高い身近なコメ類・生鮮野菜の価格上昇は人々の体感物価に直結する」とみる。

酒井氏は春闘では「賃上げ率が昨年並みかそれ以上となる可能性が高まってきている」とし、賃金・物価の持続的な上昇が実現しつつあるとの判断から、日銀が6月に利上げする可能性も「十分にある」とみている。

日銀の植田和男総裁は12日の国会答弁で、足元では食料品など人々の購入頻度の高い品目の価格が大きく上昇し、国民生活に強いマイナスの影響を及ぼしていることは深く認識している、と述べた。

その上で「足元の生鮮食品を含む食料品などの値上がりが一時的なものでは必ずしもなく、人々のマインドや期待物価上昇率などに影響を与えているというリスクはゼロではない」と指摘した。

参照元∶REUTERS(ロイター)