NASA、幹部4人が退職へ 有人月探査計画不透明に

米航空宇宙局(NASA)の有人月探査計画「アルテミス」に関わってきた幹部4人が退職することが分かった。
トランプ米大統領(共和党)と、側近で米宇宙関連企業スペースX最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が火星探査に焦点を当てようとしている中で、NASAの混乱が深まっていることを示した。
NASAは19日、アルテミス計画を推進する中心的存在だったジム・フリー副長官が22日に退任すると発表。
さらに、アルテミス計画の中心になっている南部アラバマ州ハンツビルのマーシャル宇宙飛行センター(MSFC)で勤務する3人の幹部が退職することも18日に内部で公表された。
3人はそれぞれMSFCの調達、財務、情報のトップで、これらの役割は他の職員が代行することになった。
フリー氏の後任は発表されていない。
NASAの広報担当者はコメントの要請に応じなかった。
火星への有人飛行を長年構想してきたマスク氏は、トランプ政権の「特別職員」としてNASAの全面的な見直しを監督し、職員やプログラムの削減を要求している。
そんな中で今回明らかになった幹部4人の退職により、NASAが宇宙で目指す方向性は一段と不透明になりそうだ。
スペースXはNASAと150億ドル相当の契約を結んでおり、その中には大型宇宙船「スターシップ」で人類を月面着陸させる契約も含まれている。
このため、NASA関係者の一部はマスク氏がいずれ退任すると予想していた。
しかし、約2億5000万ドルの資金を投じて大統領選でトランプ氏を支援したマスク氏は、ホワイトハウスで影響力のある役割を担うようになり、NASAに月より困難な火星探査を優先させる方向に転換。
第1次トランプ政権の方針を受け、約250億ドルの年間予算を月に集中してきたNASAの方向性を根底から覆す恐れが出ている。
参照元∶REUTERS(ロイター)