資源大国で“死のボート”に乗る理由 沈没相次ぎ 毎年、数百人規模の死者
![コンゴ民主共和国の国旗を撮影した写真](https://news-information-bureau.com/wp-content/uploads/2025/02/1000005921-1024x990.jpg)
アフリカ中部・コンゴ民主共和国では反政府武装勢力による戦闘が激化している。
そうしたなか、人々は「死のボート」とも呼ばれ、沈没が相次ぐ巨大な船での移動を余儀なくされている。
一体なぜなのか、現地で取材した。
コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。
反政府武装勢力と政府軍との戦闘が30年近く続いていて、首都ですらインフラ整備が行き届かず、道路の状態も悪い。
コンゴの戦闘は今年に入りさらに激化し、国連によると、先月末以降、3000人近くが死亡、先月だけで40万人が避難民となった。
「世界で最も貧しい国」のひとつと言われるコンゴ。
舗装された道路は国土のわずか2%。
そのため、人々にとって欠かせない交通手段となっているのが、「コンゴ川」を渡る巨大な船だ。
全長200メートル、巨大な鉄板を4枚つなげ、最後尾のボートのエンジンだけで押し出す仕組みだ。
取材した船には、およそ300人が乗っていた。
「ここ(首都キンシャサ)には、トウモロコシを売りに来ました」「地元に戻ります。ここ(キンシャサ)はすごく大変だから」ボートはキンシャサから1700キロ離れた終着点を目指す。
運航はおよそ1か月に渡るため、乗客らは様々な形でボートの上に生活の場を作っている。
ところが…
記者「バージとバージをつなぐ接合部が外れてしまったということで、トラブルが起きているようです。見に行きたいと思います。気をつけないと、本当にギリギリです」
ボートでの運航は危険と隣り合わせだ。
整備不良や過積載などに伴うボートの沈没事故が後を絶たず、コンゴでは毎年、数百人規模の死者が出ることから、「死のボート」との異名がついている。
それでも、貧しい人々にとって他の手段はない。
「首都キンシャサに来るには、ボートか、飛行機しか移動の選択肢はない。(Q.でも、飛行機は高いですよね)高すぎます」
コンゴは、スマートフォンやEV=電気自動車のバッテリーを作るのに欠かせない「コバルト」の産出量世界一を誇る“資源大国”だ。
しかし、市民はその恩恵を受けることができていない。
背景にあるのは、鉱物資源の支配をめぐる紛争などだ。
情勢に詳しい専門家はコンゴ国内だけの問題ではないと指摘する。
東京外語大学 現代アフリカ地域研究センター 武内進一センター長「外国企業が(資源輸出に)深く絡んでいるが、コンゴの富をかなりの部分、不当に国外に持ち出しているということは事実。これは(コンゴ)国内だけの問題ではなくて、国際的な問題と表裏一体だということを強調したい」
私たちが使う「資源」をめぐり、コンゴで続いてきた争いと搾取の構図。
紛争が深刻化する今、国際社会からの支援が求められている。
参照元∶Yahoo!ニュース