南海トラフで大被害予想10県への応援自治体、事前に指定へ 4月から運用・合同訓練も

災害をイメージした写真

総務省は、南海トラフ地震が発生した際に、大きな被害が想定される太平洋側の10県に応援職員を派遣する自治体を、それぞれ「即時応援県」として事前に決めておく方針を固めた。

関係自治体などが参加する会議で12日に正式決定し、4月から運用を始める見通し。

合同災害訓練を行うなどして想定される被害や必要な支援を事前に共有し、迅速な支援実現を目指す。

災害発生後に派遣元と受け入れ先の自治体を決める「応急対策職員派遣制度」は、総務省が2018年3月に始めた。

昨年1月の能登半島地震では、63自治体の職員が、石川県などの18市町に派遣され、避難所運営や家屋の被害状況調査などの業務を支援した。

ただ、急きょ駆けつけた応援職員は被災地の地理に不案内で、被災自治体側もどんな業務を依頼してよいか決められず、現場が混乱する事例も多かった。

政府は南海トラフ地震が発生した場合、震度6弱以上の揺れか3メートル以上の津波に襲われる可能性がある地域は、29都府県707市町村に及ぶ広域災害になると想定している。

そのため総務省は大きな被害が想定される10県について、直後の支援を担う県をあらかじめ決めておくことにした。

ペアとなった県は被害規模や距離、これまでに個別に結んでいる応援協定などを考慮して、日本海側や北関東などから選ばれた。

被害が特に大きい静岡や愛知、高知など5県では、複数の県や市が支援する体制にした。

東京や神奈川、大阪などは南海トラフ地震で被災する可能性がある地域を含むため選ばれなかった。

「ペア」となった自治体は新年度から合同で〈1〉災害訓練〈2〉被災想定地域の視察〈3〉応援に向かう交通ルートの確認――などを行う。

また土木や廃棄物、避難所運営などのノウハウを持つ職員のリストを互いに交換し、円滑な運用を目指す。

自治体の災害対応に詳しい防災科学技術研究所の宇田川真之・特別研究員は「現場では支援する側と受ける側が互いの事情を理解していないと迅速な活動ができない。応援経験のある自治体から効果的な支援方法を聞き取るなどの対策も、あわせて進める必要がある」と指摘している。

参照元∶Yahoo!ニュース