岸田前総理襲撃事件 木村隆二被告に懲役15年を求刑「殺意や加害目的があったのは明らか」和歌山地裁 弁護側は懲役3年求める 被告は法廷で謝罪も

岸田前総理襲撃事件の裁判。
10日は、検察・被告側の論告・弁論が行われ、検察側は先ほど、被告の男に対し、「人の命を奪う可能性がある爆発物を大勢の人がいる中で投げて爆発させたことに殺意や加害目的があったのは明らか」などとして、懲役15年を求刑した。
起訴状によると、兵庫県川西市の無職・木村隆二被告(25)は、2023年4月、選挙の応援のため和歌山市の雑賀崎漁港を訪れた、岸田文雄前総理に向かって手製の爆発物を投げたとされる殺人未遂や爆発物取締罰則違反などの罪に問われている。
岸田前総理は逃げて無事でしたが、警察官と聴衆の男性の2人が軽いけがをした。
弁護側「注目を集めたかった」裁判は2月4日から始まった。
主な争点は、木村被告に「殺意があったかどうか」。
ここまでの検察側、木村被告側の主張を改めて整理する。
○木村被告側4日の初公判で、木村被告は「殺意はありません」と起訴内容を一部否認。
6日の被告人質問では、爆発物を投げた動機が明らかになった。
木村被告は、政治家を目指そうとするも、年齢制限によって選挙に立候補できなかったことを受け、民事裁判を起こしていた。
この裁判で敗訴したことが、”爆発物を投げたことにつながった”と話した。
(木村被告:6日の被告人質問)「総理大臣のような有名人の近くで大きな音を出すと、私に注目が集まり、裁判のことも知られるだろうと思った」これに対し、検察側は・・・
(検察官)「音がするだけなら爆竹で良かったのでは?」
(木村被告)「爆竹だと音が小さい」
(検察官)「大きな音を出すために、爆発物を作ったのですか?」
(木村被告)「大きな音を出すために、爆発物を作りました」
一方、検察側は、木村被告が製造した爆発物に「殺傷能力」があったことを主張。
2月5日には、警察庁の技官で「爆発」の専門家は、実験の結果、木村被告が製造した爆発物は、「銃の弾丸」の威力を上回り「殺傷能力がある」と説明。
さらに、6日の被告人質問では、木村被告に対し、爆発物の危険性について問い詰める場面も。
木村被告は、事件の約1か月前、自宅近くで爆発実験をしていたことが裁判で明らかになった。
木村被告の話では、使用した爆発物は「マンションの2階ほどの高さまで飛び、姿が見えなくなった」という。
(検察官)「どこに飛ぼうが当たったら危ないという気持ちはなかった?」
(木村被告)「上に飛んで落ちてくるものが当たるのは確かに危ないと思います(ただ)私の見た限りでは安全そうだと思いました。上に飛ぶだけで何かが飛び散ったりという感じがなかったので、まあ大丈夫と思った」
これまでの主張を踏まえ、事件について検察・弁護側双方が自身の主張をまとめるのが、「論告・弁論」の手続き。
10日の裁判で検察側は、「人の命を奪う可能性がある爆発物を大勢の人がいる中で投げて爆発させたことに殺意や加害目的があったのは明らか」、「今回の事件では同じような犯行を防ぐ観点が必要。真似をしようと思えばできてしまう」、「政治家が市民に直接政策を訴えることが今後も考えられるなかで本件のような行為を防ぐ必要がある」、また「犯行の連鎖や危険を防ぐ必要がある。厳しく処罰されることを社会に知らしめて警鐘とすべき事案」などとして、木村被告に対し懲役15年を求刑した。
また、10日の裁判冒頭、被告人質問が行われ、公選法違反の罪について、木村被告は「そういえば(インターネットで)検索した中で『和歌山1区』など選挙に関連した言葉があった。岸田さんは遊説で和歌山に来たんだと思った」と話し、認めに転じた。
一方で、弁護側は「人に危害を与える目的なら、導火線を短くすればよいし、爆発物を相応の大きさにすることは可能だったはずである。爆発物の構造からは、殺意があった認識はできず、殺意は認められない」など、傷害罪にとどまるとして懲役3年を求めた。
木村被告は最終陳述で「多くの皆さんにご迷惑をおかけして大変申し訳なく思います」などと謝罪の弁を述べた。
判決は2月19日に言い渡される。
参照元∶Yahoo!ニュース