水産業界の救世主なるか!?大量のサケの骨抜きを可能にする「AI搭載マシン」驚きの職人芸

AIも搭載したあることを専門に行う最新鋭の機械だが、総重量はなんと3トン!
南海放送愛媛県東温市にある土佐電子工業・松山工場。
工場を自動化する機械の生産などを行っている。
土佐電子工業の開発部長、岡村斉さんら開発区グループは6年前からある極秘プロジェクトを進めてきた。
銀色に輝く全長4m、総重量3トンの巨体。
土佐電子工業 岡村斉さん:「これがまだネーミングはしていないんですけど、サーモンの骨抜き機になります」
サーモンの自動骨抜き機だ。
「たかが骨を抜くためなんですけど、そこにはいろいろ工夫がありまして」
南海放送国の統計によると、日本人が最も食べる魚はサケ、サーモン。
さらに近年ではタイムパフォーマンス“タイパ”を重視する消費者が増えていることで、骨取りサーモンの需要も増えているという。
需要も消費量も多いサケだが…実際のところ。
南海放送岡村さん:「なかなか見づらいと思うんですけど、このへんにピンボーンと称する骨がずらっと。よくスーパーでサーモンの(骨取り)フィーレが販売されておりますけども、それ全部骨を抜いた形、バックヤードで作業者が一本一本骨を抜いております。それを代わりにする機械です」
大量のサケを骨抜きするのは人力。人手不足の水産業界の救世主として、開発が進んでいたのが、このサーモンの骨抜き機だ。
南海放送岡村さん:「最新のAIを使いながら、人間の目と頭脳と代わるものを、さらに右手左手に代わるロボットを備えております」
まずは、同時に最大10枚置くことができるボックスにサケをセットする。
続いて。
岡村さん:「今、この撮像ポジションに搬入されました。サーモンこの状態で特殊な照明を当てて、上に2台のステレオカメラでサーモンの骨とフィーレを認識するAIで処理されます」
「この赤プラスが骨の位置ですよ、上の数字が本数ですよと。XY平面および高さを検出してそのデータをもとに、こちらの双腕ロボットが動くという形」
南海放送「AIで処理されたサーモンがこちらに流れてきます」(ウィーン)
「右腕に相当するのがこちら。左腕に相当するのがあちらで抑えながら骨を抜いていきます。一本一本」
身を傷つけないように繊細に。
骨1本を抜いていく早さはわずか1.6秒だ。
岡村さん:「これデモンストレーションのために時間はゆっくりしています。もっと高速にもできます」
このサーモンの骨抜き機、開発中には…骨が抜けなかったり。ウロコと骨を間違えたり。力が強すぎて、身がちぎれたり。
6年間で消費したサーモンは600匹以上。
南海放送岡村さん:「(サーモンは)あんまりしばらく食べたくないような。回転寿司よく行くんですけどサーモンはとりません」
愛媛大学や県産業技術研究所、伊予銀行などとともに、失敗に失敗を重ねながらようやく今回、このマシンが生産現場に実践導入されることになった。
土佐電子工業 増田泰伸社長:「一人でも二人でも(労力を)削減できたり、その人たちがもっとクリエイティブな仕事に携われたらいいなと思います」
南海放送実践導入するのは、共同で開発していきた「宇和島プロジェクト」だ。
宇和島プロジェクト 木和田権一社長:「これから手直しをしながら全国、宇和海で育ったサーモンを手軽に(骨を)抜きながら、全国の消費者に届けることができると思います」
宇和島プロジェクトでは10年前に、愛媛で初めてサーモンの養殖に挑戦。
現在も「宇和島サーモン」として全国に出荷を続けている。
南海放送 木和田社長:「下向いてずっと一本一本抜くという作業が本当につらくて、なんか改善したいなという思いがありました」
南海放送実践導入を前に、操作のテストだ。
愛媛大学理工学研究科 木下浩二講師:「画像の一画素、一画素に対して、骨であるか身であるか色分けしてあげる技術でAIを使ってます」
岡村さん:「今のところ順調に、思惑通り進んでおります」
県産業技術研究所 清家翼研究員:「この技術を生かして宇和島の養殖産業、漁業に貢献できるような技術になったのでは」
大学、県、企業、それぞれの英知を結集した骨抜き機がデビューです。
南海放送岡村さん:「偉そうなこというけど、9割は(正確に)いけるんですよ。あとのここを詰めるためにいっぱいいろんなことをせないかんのですよ。最後の詰め」
これで満足しない、もっと上を目指すという岡村さん。
水産王国・愛媛を支える、強力な武器となるかチューモク!
参照元∶Yahoo!ニュース