逆にのどが渇くことも?のど飴を舐めすぎるとどうなる?上手な活用方法を医師に聞いた

のど飴をイメージした写真

空気が乾燥すると、気になるのがのどの違和感。のど飴でケアをする人も多いだろう。

しかし、のど飴をなめすぎると逆に違和感の原因になるなど、デメリットもあるようだ。

のど飴をなめ続けることでどんなことが起こるのか。

東京医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野准教授の本橋玲さんに、なめすぎによるのどへの影響と、ケアにつながるのど飴の活用方法を教えてもらった。

のど飴は味を楽しむためになめる一般的な飴とは違い、のどに不快を感じたときになめるものと認識している人も多いはず。

しかし、「飴ものど飴も“口の中を潤す”という点ではどちらも同じです」と本橋さん。

ただ、のどの乾燥が気になったときにのど飴をなめるのはいいことだそう。

「のどを潤す第一歩として、のど飴はとても役に立ちますね」

そんなのど飴は主に3つの種類に分けられる。

・医薬品「のどの痛み」などの症状があるときに「薬」として服用するもの。有効成分が配合されており、副作用の心配もある。製造・販売には国の承認・許可が必要なため、基本的には薬局やドラッグストアで販売されている。用量・用法が決まっているので記載通りに服用する必要がある。

・医薬部外品「医薬品」としては位置づけられていないが、有効成分が含まれている。製造は国の承認が必要だが、販売には許可が不要のため、コンビニやスーパーなどでも販売されている。こちらも記載通りの用法・用量を守ることが重要。

・食品フルーツ味やミルク味などのいわゆる「お菓子の飴」。のどへの効能・効果は認められていないが、味や食感を楽しむものとしてさまざまな種類がある。

「オーラルウェルネス推進委員会が発表した研究結果によると、飴をなめたとき最初に出てくる唾液はのどの粘膜を保護する成分が含まれていることが明らかにされています。そのため短期的に免疫が上がりますが、ずっと続くわけではないようです」と本橋さん。

では、のど飴を何個も続けてなめているとどんな影響が出てくるのか。

本橋さんによると、3つの可能性が考えられるそうだ。

まずは「のどの粘膜の抵抗力の低下」だ。

のどの粘膜には「繊毛(せんもう)」とよばれる細胞があり、活発に動くことで、のどへの異物侵入を防ぐバリア機能を果たしている。

食べ物を口に含んでいないとき、唾液は「繊毛運動を促す」役割を担うが、飴をなめると消化酵素(アミラーゼなど)の分泌が増え、のどの保護に必要な成分(ムチンなど)が減少する。

そうなることで繊毛運動が鈍くなってしまい、のどに異物やウイルスが入りやすくなってしまう可能性も。

また、始めは唾液がたくさん分泌されるが、なめ続けていくうちに減っていき、口も乾きやすくなるという。

乾燥状態が続き飴の糖分も増えることで、繊毛運動に悪影響をもたらす場合もあるそうだ。

2つ目は「唾液がべたつき、のどが渇きやすくなる」こと。

のど飴を何個もなめ続けることによって唾液の質も変化。

飴の糖分が唾液と混ざることにより、さらさらだった唾液がべたべたした質感になる。

唾液がべたつくと、のどの潤滑性が低下して乾燥を感じたり、痰も絡みやすくなってしまうという。

最後は「虫歯のリスク」があることにも留意してほしい。

飴の糖分で口の中は酸性に傾くが、通常はアルカリ性を持つ唾液の分泌により中性が保たれる。

しかし、なめすぎるとどんどん口の中の酸性値が高くなっていき、この環境を好む虫歯の原因にもなりうる。

医薬品・医薬部外品ののど飴は、上記に加えて薬としての副作用も出てしまうことがあるので要注意。

食品ののど飴は特に個数は決まってはいないが、糖の取りすぎによって血糖値の上昇をもたらす危険も考えられるので、“ほどほど”にしてほしい。

なめすぎはのどの違和感や症状を悪化させてしまう恐れがあるからだ。

のどには「加湿」をでは、このような影響を抑えるためにはどうしたらよいか。

本橋さんいわく、ポイントは「常に加湿をする」ことだという。

手軽にできるのは次の2つだ。

1.こまめに水分をとる大切なのは、のど飴をなめる前後で水分補給をこまめに行うこと。水を飲むことで口の中が洗い流され、酸性に傾いた口内環境がリセットされる。また、唾液のべたつきもなくなり、のどの乾燥も解消されるという。なお、飲み物は水のほかではお茶がおすすめで、“温かい”“か冷たい”かは個人の好みでOKとのことだ。

2.マスクをつけるのどは乾燥にとても敏感で、実は肌よりも受ける影響が大きいとのこと。マスクは常に潤いを保つのにとても有効なアイテムだという。つけることで自身の呼吸の蒸気がこもり、再び吸うことで加湿を助ける役割を担う。

最後に、食品ののど飴をなめる際の注意点についても聞いた。

上記ののどへ影響を考えた上で、1日にどれだけの数が合っているのかを自分で決めておくことが大切になる。

「何個からがなめすぎになるという具体的な数は人それぞれで違ってきます。自分が“心地よい”と思える量を適切なタイミングでなめるのが一番。食品ののど飴は薬ではなく嗜好品ですので、自分が“おいしい”と感じる気分を大切にしてほしいと思います」

まだまだ乾燥する日が続く。のど飴をうまく活用し、自身のどをいたわってほしい。

参照元∶Yahoo!ニュース