96歳ユーチューバー「最強ばあちゃん」、5世代20人大家族の日常伝え人気 登録者12万人「パワーもらえる」

ユーチューバーをイメージした画像

「最強ばあちゃん」という愛称で活動するユーチューバーが茨城県内にいる。

96歳の千代さんだ。

5世代20人の大家族の日常をありのままに伝える動画が人気を集め、チャンネル登録者数は12万人を超える。

元気に家事や畑仕事をこなす姿に、若い世代のみならず高齢者からも「パワーをもらえる」との声が寄せられている。

千代さんが肉じゃが料理の準備を手際よく進める中、味見をしたひ孫の大学生・航さん(21)から「おいしい」と言われ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

自分の料理をおいしそうに口に運ぶと、「昔はろくなものを食べてねぇもん」と屈託ない表情を見せた。

こうした一コマを伝える動画「最強ばあちゃん ときどき玄孫(やしゃご)」は2022年2月に配信がスタート。

家族で行う畑仕事や玄孫(孫の孫)たちとのじゃれ合い……。

映し出される日常生活からは大家族ならではの温かさが伝わってくる。

発案したのはひ孫で2、児の母でもある唯さん(26)。

「すごいばあちゃんがいたことを、自分の子供も覚えていてほしい」との思いがきっかけだった。

弟の航さんに撮影や編集作業を手伝ってもらい、これまで約760本を投稿。

再生回数は毎回ほぼ数万回で推移し、170万回を超えたものもある。

視聴者からは「見ていて癒やされる」などとコメントが付き、海外から手紙が届くことも。

千代さんは「今が人生で一番楽しい」と声を弾ませる。

長女と孫との3人で暮らし、近くにその他の家族が住む。

「できることは何でも自分でやる」がモットー。

午前6~7時台には起床し、洗濯や掃除、家族の昼食の準備など身の回りのことは率先して行う。

食欲も旺盛で、毎日3食欠かさない。

「畑仕事が趣味」と言い切るだけあって、晴れた日は5~6時間、草むしりなどにいそしむ。

500坪の畑で白菜やタマネギなど約40種を育てており、重1キロ以上あるダイコンも軽々と引き抜く。

「毎日体を動かしているから丈夫でいられる」

1928年、旧・伊勢畑村(現・常陸大宮市)で生まれ、10代後半は東京都内で駅員として約2年間働いた。

「毎日のように空襲があり、防空壕(ごう)から会社の寮に帰ると、天井と床に大きな穴が開いていた」

終戦後に実家に戻ると49年、お見合いで紹介された二郎さん(91年に66歳で死去)と結婚。

バラック小屋に住み、雑木林を切り開いた畑を耕してサツマイモや小麦などあらゆる作物を育て、飢えをしのいだ。

結婚して間もなく長男に恵まれたが、小さな命は百日咳(ぜき)を患い、生後3か月ほどで世を去った。

戦争、戦後の苦難――。

「戦争はいけない」という思いを強くし、後に自身の動画でも語るようになった。

農家を営みながら、困難を乗り越えてきた千代さん。

3人の娘、7人の孫、5人のひ孫、4人の玄孫に囲まれた今の穏やかな暮らしに「殿様のような生活で、生きているだけで幸せ」と喜びをかみしめる。

動画投稿をきっかけに、「前より若くなった」とよく言われるようになった。

家事や動画撮影などについて「考えることが多い」ことも、長寿の秘訣(ひけつ)と言う。

目標は100歳までユーチューブを続けること。

「玄孫が成長する姿も見ていたいし、まだまだボケられないよ」。

最強ばあちゃんの意欲は尽きない。

参照元∶Yahoo!ニュース